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コラム
» 2004年04月02日 19時34分 UPDATE

XIIIの秘密〜プログラマブルシェーダを使わなくてもできる効果的な表現(後編) (1/2)

XIIIのコンセプト「漫画の雰囲気をそのままに3Dゲーム化」する独自の表現方法を解説するこのコラム。今回は旧式GPUでも効果的なビジュアルを実現する仕掛けを解説しよう。

[トライゼット西川善司,ITmedia]

漫画らしさを演出する特殊効果とは

 このテーマの初回で列挙した、XIII開発チームなりの「漫画的表現」解釈のうち「大写しページの中にはポッアップされたサブコマが配置され、この中には別視点の状況が描かれる」について説明しよう。

 XIIIではこの表現を、ゲーム中に様々なイベントをポップアップウィンドウの形で挿入することで実現している。こうした表現が使われるのは、敵をド派手に倒したときや、主人公(プレーヤー)がいない場所で同時進行するイベントの様子を示す場合などだ。

 このポップアップウィンドウは、

(1)2Dグラフィックデザイナーが描いた"決めうち"のイラストをサブコマで示す

(2)プレーヤー視点とは違う別視点からレンダリングした映像をサブコマで示す

(3)シーンを一定時間間隔ごとにテクスチャーへレンダリングし、これを複数のコマで「ダダダン」とリズミカルにゲーム画面へ並べていく

の3タイプがある。

 (1)は説明するまでもないだろう。(2)は漫画的、と言うよりは、テレビのピクチャーインピクチャー機能のような表現で、3Dゲームグラフィックスの演出方法としてはユニークなもの。

 (3)も、XIII特有の表現演出で、ちょうどカメラで撮影した連続写真を画面に並べたような格好になり、短時間ではあるが一定時間画面に残る。この表現のみ、ゲーム内の時間進行とは非連動となるので、非常にアーティスティックな効果としてプレーヤーの記憶に残る。

 ちなみに(2)(3)はいわゆるマルチパスレンダリングの応用形態であり、技術的にはそれほど高度なものではない。

 「擬音が、その音を発した場所付近に描かれる」といった表現は、デザイナーが描いたロゴを、スプライトとして表示しているだけだ。とはいえ、各スプライト文字はそれぞれが3Dで管理されており、パーティクルオブジェクト的な動きを示す。

 例えば、落下しながら死亡する敵キャラの断末魔であれば、それぞれのスプライト文字は漫画チックな配置を意識しつつも、敵キャラの3D的落下移動にあわせて文字も落下していくような、ダイナミックに動きながら描かれる。

 前述のコマ割りのポップアップ演出と、このスプライト文字が同時多発的に乱舞するので、静止画としてキャプチャすれば漫画そのもののように見えるし、実際のゲーム映像も、まさに漫画のコマが動き出してしまったかのような独特なビジュアルとして目に飛び込んでくるのだ。

kn_xiii050.JPG 別視点からの映像をサブコマで表示。静止画で見ると漫画的に見えるが、このサブコマの中の映像も動く
kn_xiii161.JPG かっこよく敵を倒すと派手な効果音と共に"ダダダン"とそのやられアクションが連続写真調にサブコマで順番に表示される。このサブコマの映像もリアルタイムでレンダリングされたものだ
kn_xiii262.JPG 頭上の断崖絶壁の敵を狙撃。落下して地面に激突するまでのアクションが連ゴマで表示。こうした連ゴマは、キャラクターの動く方向に併せて縦方向に配置されるのがおしゃれ
kn_xiii164.JPG 落下する敵の断末魔の叫びは文字化され、キャラクターの軌跡に沿って表示される。静止画で見ると実に漫画的だ
kn_xiii199.JPG 音がする方向に擬音文字が描かれることにより、壁越しに敵の接近を音でなく、映像としても把握することができる。これは漫画的表現、というよりもゲーム要素的に面白い
kn_xiii227.JPG

kn_xiii234.JPG

kn_xiii236.JPG こうした一連の特殊効果演出を連続キャプチャしてみた。スタイリッシュではあるが、どことなく笑いを誘う要素もある

プログラマブルピクセルシェーダを使わない特殊映像効果

 「ディテールを省略したコントラストだけのタッチで印象的なビジュアルを挿入することがある」といった表現について、XIIIのゲームでは回想シーンや死亡シーンなどに特殊効果を適用している。

 そうしたシーンではモノクロや白飛びしたような色調表現の映像にブラー効果を重ねた感慨深い表現になっており、一見しただけではプログラマブルピクセルシェーダを活用したポストエフェクト処理かと思ってしまった人もいるかもしれない。

 しかし、意外にも、こうした表現の実現においてもXIIIでは、プログラマブルシェーダを用いていないのだ。ブラー表現とは映像がブレて残像を残したような感じになる表現だが、これはテクスチャーにレンダリングした数フレーム前の過去のシーンを半透明で重ねていくだけで実現している。

 「レンダリング結果のモノクロ化」といった色調変換はプログラマブルピクセルシェーダを使わないと実現が難しいそうに思えるが、これも固定ピクセルパイプラインだけで実現が可能なのだ。

 あるシェーダ技術者が教えてくれたテクニックに「テクスチャーステージステートを活用する方法」がある。「テクスチャーステージステート」とは、固定ピクセルパイプラインにおいてテクスチャーを貼り付けるときに、ある取り決めた演算(テクスチャーの合成やブレンディング)を行うことができる仕組みのことだ。

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