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レコメンデーションの虚実(9)〜世界の中心で「僕がほしいもの」を探すソーシャルメディア セカンドステージ(1/2 ページ)

» 2007年11月05日 11時00分 公開
[佐々木俊尚,ITmedia]

検索エンジンとレコメンデーションのアプローチは正反対

 そもそもレコメンデーションとは、いったい何なのか。それは検索エンジンやソーシャルブックマークとは異なるものなのか。

イラスト

 インターネットの海の中からユーザーにとって必要な情報を的確に拾い上げ、それをユーザーの前に提示するというあり方においては、検索エンジンもソーシャルブックマークもレコメンデーションも、変わりはない。ではレコメンデーションと検索エンジンを分けているのはいったい何なのだろうか。

 突き詰めればそれは、インタフェースのデザインの違いである。拾い上げた情報について「こんなにたくさんの情報があります。これをランキングして並べて見せますよ」と見せるのが検索エンジンだとすれば、レコメンデーションはかなり異なる。「たくさんの情報がありますよ、でもその中からあなたの見るべき情報はこれです」と選択肢をいくぶん狭めて提示するのだ。言い換えれば、「選択肢の多さ」を主題とするのが検索エンジンだとすれば、レコメンデーションは「選択の簡単さ」を主題としている。

 つまり検索エンジンとレコメンデーションでは、ユーザーに提示するそのアプローチが180度異なっているのだ。

検索結果を分類して表示するエフルートの携帯向け検索

 この両者のちょうど中間点を追い求めているサービスが、携帯コンテンツの世界にある。Yahoo!モバイル、Googleモバイルに次いでモバイル検索の国内市場で第3位につけているエフルートの検索エンジンがそうだ。この検索エンジンを使ってみると、グーグル型のロボット検索エンジンとレコメンデーションがどう異なっているのかが、皮膚感覚で理解できるようになる。

 例えばGoogleを使って、「阪神」というキーワードで検索してみよう。検索結果の上位ランキングは次のような順番になっている。

 阪神タイガース公式サイト

 阪神電車ホームページ

 阪神グループ

 阪神のニュース検索結果

 阪神電鉄バス・阪神バス

 阪神百貨店

 阪神タイガース-Wikipedia

 阪神電気鉄道-Wikipedia

 Yahoo!プロ野球-阪神-日程・結果

 阪神高速


 阪神には阪神タイガースや阪神電車、阪神百貨店などいくつもの意味があり、Googleの検索結果にはそれらが混在して出力されている。これはGoogleの検索を使い慣れている人にとってはごく当たり前の結果であり、当然想定の範囲内だろう。ではこの同じ「阪神」というキーワードを、エフルートで検索してみるとどうなるだろう。

 エフルートの検索結果は、通常のロボット型検索エンジンとは見た目がかなり異なっている。ディレクトリとロボットのハイブリッド型とでも言うべきだろうか。次のような内容だ。

 ぴったりサイト(4)

   阪神タイガース

   阪神バス

 辞書/事典(2222)

   阪神(wikipedia)

 ニュース/読み物(180)

   海外セレブやハリウッド女優御用達の「FIJI Water」が日本上陸

   ホテルを利用したウォーキングセミナー

 着うた/メロ(11)

   恋の京阪神

   GET DOWN(YOU'RE THE ONE FOR ME)

 画像/待受(287)

 動画ムービー(117)

 YouTube(2099)

 スポット情報(139)

 レストラン情報(25)

 ページ情報(2182735)

   サンテレビONモバイル

   阪神競馬場

   阪神タイガース公式サイト

   阪神百貨店ホームページ

 口コミ掲示板(200)

   今年の阪神はやらかした!


 検索結果がGoogleのようにそのままランキング順にすべて表示されるのではなく、「ぴったりサイト」「辞書/事典」「ニュース/読み物」などのカテゴリーごとに自動的に分類される仕組みになっている。エフルートではこれを「クラスタリング機能」と呼んでおり、同社の検索エンジンの注目点のひとつとなっている。

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