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MSのオープンソース受け入れに疑問(1/2 ページ)

» 2008年02月25日 19時22分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの図々しさには感心するばかりだ。情報を隠そうとしたことで欧州連合(EU)の裁判所に手痛い敗北を喫し、その情報を開示するよう裁判所から命じられたMicrosoftは、「自社製品のオープン性を高め、開発者、パートナー、顧客および競合企業のために相互運用性を改善し、機会と選択肢を拡大する」ことに真剣に取り組んでいる

 いやはや、なんだかめまいがしてきた。

 「Microsoftがかつてなく大胆な方針転換。オープンソースを受け入れ」という見出しを載せた新聞もあった。世の中にはだまされやすい連中もいるものだ。勘違いしないでいただきたい。Microsoftは全面的な敗北をPR面での勝利に変えようとしているだけなのだ。

 Microsoftが実行すると約束していること、すなわち自社の主要プログラムのAPIを公開し、Microsoftが業界の標準と拡張機能を支持していることを文書で示し、ドキュメントの相互運用性に向けて努力するというのはすべて、EUの裁定で要求されたことだ。それどころか、EUによると、今回のMicrosoftの発表も不十分な内容だという。

 Microsoftの発表に対して、欧州の反トラスト委員会は次のように論評した――「Microsoftの発表は、同社がこれまでこの分野でEUの独禁法の規定を順守してきたのかという問題には触れていない。当委員会は真の相互運用性に向けた動きは歓迎する。しかし本日の発表は、相互運用性の重要性に関してMicrosoftが以前に発表した4つの同様の声明を踏襲した内容だ」。

 残念ながら、Microsoftは約束と法的義務をきちんと果たさなかったようだ。EUの反トラスト委員会の声明はさらに、「当委員会は2008年1月、Microsoftに対して2件の独禁法違反の調査を正式に開始した。1つは相互運用性に関するもので、もう1つはソフトウェア製品の抱き合わせ販売に関するものだ。(中略)本日のMicrosoftの発表は、抱き合わせ販売の問題に対処していない」と述べている。

 EUは具体的に何が問題だと言っているのだろうか。これらの問題に対し、Microsoftは、今ではきちんと対処していると主張しているが。

 「調査中の問題の1つは、広範な製品における十分な相互運用性情報の開示をMicrosoftが拒否していることだ。これには、同社のOfficeスイートと幾つかのサーバ製品に関連した情報のほか、いわゆる.NET Frameworkに関する情報、そしてOfficeに実装されたMicrosoftの新ファイルフォーマットであるOffice Open XMLが競合企業の製品と十分に相互運用可能であるかという問題に関する情報も含まれる」とEUの声明書は述べている。

 「もう1つの調査は、Internet Explorerなどの個別ソフトウェア製品を、Windows OSと抱き合わせて販売しているという問題だ」と同声明書は続ける。

 Microsoftはこういった追求を必死にかわそうとしているのだ。EUは欧州裁判所の命令に従っていることを示すようMicrosoftに求めているのに対して、同社は「ほら、(あなた方に言われるまでもなく)これらの問題にきちんと取り組んでいるでしょう」と言いたいのだ。

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