Appleはこれまであまり経験したことのない立場に置かれている。初めから正しく動作する優れたハードを提供して名声を築いてきた企業が、iPhone 4ユーザーの電波感度問題をめぐる疑問に、答えざるを得ない立場に立たされている。これまで、Appleはこの件についてほとんど発言していない。
Appleのスティーブ・ジョブズCEOは6月24日のメールで、ユーザーがiPhone 4の持ち方を変えればいいと述べている。その後Appleの公式の声明でも、同様の見解が示された。同社は、アンテナ問題は「すべての携帯電話における事実」であり、ユーザーはアンテナを覆わないようにiPhone 4を持つか、「別売りのケースを使う」べきだとしている。
Appleがこういう対応をしたのは残念だ。適切に対処し、世界最高のスマートフォンを提供するという約束を実行する機会があったのに。
だが、今の対応は失敗だ。Appleが適切な対処法を見つけるまでは、iPhone 4の購入をためらう人もいるだろう。確かに同製品は素晴らしいディスプレイを搭載し、これまでのiPhoneの中でおそらく間違いなく最も優秀なモデルだ。しかしAppleが顧客をフェアに扱い、アンテナの問題に対応するまでは、Appleやその製品にかかわりたいと思う人はいないだろう。
AppleはiPhone 4のアンテナ問題に対処する必要がある。同社の取るべき対応を以下に挙げる
現在、AppleはiPhone 4を保護する「Bumper」というケースを提供している。同社の声明によると、ケースをつければアンテナ感度が落ちる問題は起きないという。唯一の問題は、Bumperが29ドルで売られていることだ。評判を落とさないよう適切に対応するため、Appleは今iPhone 4を持っているすべてのユーザーにBumperを無償配布するべきだ。確かに数百万ドルの費用がかかるが、消費者がiPhone 4を購入しなくなって売り上げを逸失するよりはいい。この問題を正す代価としては小さい。
iPhone 4のアンテナ問題の正確な原因についてはいろいろと憶測が流れている。Appleは受信感度を弱めるような持ち方をしないようアドバイスしているが、一部には、これはソフトの問題であり、AppleはiOS 4.01でこの問題に対処するとの報道もある。もしそうなら、Appleはすぐにでも対処を始めるべきだ。長くかかるほど、対応が悪く見えてしまう。
Appleは誤りを認めない企業だが、今回は公式な謝罪文を発行し、「できるだけ早急に、できる限りの手を打つ」と顧客を安心させるべきだ。IT企業はたいてい、顧客が問題を忘れてくれることを期待して、ひっそりと対処することを好む。Appleもそんな会社になってしまう危険がある。同社はきちんと謝罪する必要がある。謝罪は、この問題を完全に解決するために必要な方法の1つにすぎないかもしれないが、適切な顧客対応に大きく貢献する。
一部の人は、Appleがユーザーに携帯電話の持ち方を指導しているように思っている。確かに携帯電話にはアンテナの問題があるが、携帯電話を使うためだけに特定の持ち方をするよう顧客に強制するのはよくない。アンテナ感度の問題が当然のことだった1990年代とは、事情が違うのだ。「死のグリップ(iPhone 4の電波感度が落ちる持ち方)」をやめろというAppleの主張は、日ごとに侮辱的になっている。iPhone 4にアンテナ感度の問題が起きるのは、ユーザーの落ち度ではない。Appleの落ち度なのだから。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR