知的作業に携わるビジネスパーソンがぶつかる“仕事の悩み”。こんな悩みを仕事術の研究家、大橋悦夫が楽しく解決します。
状況説明:立てたスケジュールに狂いが生じることはよくあることですが、もはや取り返しがつかないくらいの遅れが発生してしまうと、先に進むことはもちろん、後に引くこともできなくなります。
このような状況に陥ると「少しでも前に進めなくては」というプレッシャーから、スケジュールを立てずにとにかく目の前にあることを片付けようとします。こうしてスケジュールを立てている時間があったら、1つでも先に進めようという鬼気迫る状況が生まれるのですが、これでは長続きしませんし、いつ終わるのかの見通しが立たないため、うまくいきません。
では、どうしたらいいでしょうか。
仕事は大きく以下の2つに分けられます。
目の前にある仕事が、2のような「小さな作業」ばかりであれば、時間はかかっても比較的スムーズに進めることができるでしょう。でも、1のような「大きな仕事」が立ちはだかっている場合は、いったん手を止めて「大きな仕事」を小さな作業に分解する作業を行います。
分解することによって、「大きな仕事」もたくさんの「小さな作業」の集まりになります。次にすべきことは、これら「小さな作業」のグループ分けです。例えば、以下のような基準で分けてみます。
1.似たような作業
例えば、同じアプリケーションを使う作業や同じような頭の使い方をする作業を集めて、一気に進めることにより、アプリケーションや頭の切り替えをする時間を削減することができます。
2.人に依頼する必要がある作業
例えば、必要な資料を他部署から取り寄せるような場合は、なるべく早めに依頼しておきます。ギリギリになってからでは手遅れになることがあるからです。
3.前後依存関係のある作業
前後依存関係とは、タスクAが終わらないとタスクBに着手できないような場合のタスクAとタスクBの関係をいいます。この関係を無視すると、手戻りが発生し、余計な時間がかかってしまいます。
このように「大きな仕事」を「小さな作業」の集まりに分解した上で、それをグループに束ねることによって、仕事全体のプロセスが把握できます。
あとは、グループごとに作業をこなしていくのですが、その前にもう1つやっておくべきことがあります。それは、作業ごとに必要と思われる時間を見積もることです。
やるべき作業がリストアップできていても、それぞれの作業にどれぐらいの時間がかかるのかが見えていなければ、その日にすべて終えることができるのか、翌日に持ち越すことになるか、「やってみないと分からない」ことになります。
仕事には期限がつきものですから、このような状況では常に不安を抱えながら仕事をすることになり、集中して取り組めなくなります。たとえ正確な時間が分からなくても、「これくらいは必要だろう」という目算で見積もりをしておくことで、概算ながらすべて終えるのにどれぐらいの時間が必要かが分かります。
そして、作業を始めたら、作業ごとに見積もった時間と実際にかかった時間とを比較することで、次回以降の見積もりの精度が上がっていき、仕事の見通しを立てやすくなります。
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。
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