Excelを表組みワープロとして使っているなら──JotSpotオンライン仕事術(2)

Webベースのスプレッドシートというと、関数の多寡やグラフ機能など“計算”に焦点が当たり気味。しかしExcelユーザーの多くが求めているのは、表組みワープロを共有できることだろう。“表計算のWiki”であるJotSpotを試してみた。

» 2006年08月03日 01時38分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 PCのアプリケーションでファイルを作ってメールに添付して回覧したり、ファイルサーバに置いてみんなで共有したりすると、「あれ? このファイル、誰まで回覧終わっているの?」とか「だれかがファイルを開きっぱなしでロックされていて見られない!」といったことになりかねない。もちろん最新のアプリケーションとサーバアプリケーション(Office2007、Groove、Sharepointなど)を使えば、複数人で1つのファイルをいじる仕事もやりやすくなるわけだが、そもそも論からいえば、こういう仕事こそオンラインのWebアプリケーションに向いているだろう。

 さて、Excelといえば言わずと知れたオフィスソフトの雄。ほかのアプリケーションはともかく、Excelを使わないビジネスパーソンというのは滅多にいない。

 ところがExcel利用のメインは“表計算”以外というユーザーがかなりいる。ピボットテーブルとか関数とかはもちろん、数式でさえ全員が使っているわけではない。

「おまえ、この見積書、合計の数字違っていない?」

「ええ!? ちゃんと検算して入力したんですけど」

「──検算って、電卓で計算してExcelに入れたのかよ……」

 極端な例だが、こんな話さえ聞いたことがある。


 実際のところ、Excelが表組みが簡単なワープロとして使われている場合も多い。Googleで「Excel ワープロ」で検索してみると、「Excelをワープロ代わりに……」というページが山のようにヒットする。『Excelをワープロ代わりに使う業務文書作成入門』という書籍まであり、日本人とExcelの相性の良さが分かる。

Webアプリケーションのスプレッドシートは、計算機能は貧弱だが……

 複雑な計算ではなく、表組みワープロが使いたいのであれば、スプレッドシートのWebアプリケーションも使い方次第では便利だ。

 「JotSpot」は、WikiベースのWebアプリケーションだが、普通のWikiと違うのはWYSIWYGで入力が可能なこと。そしてスプレッドシートが使えることだ。Wikiで表を扱うのはけっこう面倒だが、Excelで見慣れている表の画面なら気軽に操作できる。

http://www.jot.com/">JotSpotを開いたところ。最初に自分が使うWikiのアドレスを決める(左上)。URLは、あなたのWiki.jot.comとなる。その下にメールアドレスを入力する。続いてパスワードを入力し(右)、ロボット避けの認証コードを画像を見て入力。「create my wiki」ボタンを押す
ログイン時のユーザーネームは「admin」となるので注意。wikiにアクセスするユーザーは、adminでログイン後、増やせる。無料版だと最大10ユーザーだ。右はJotにログインしたところ。このページ自体が既にWikiだ
スプレッドシートを使ってみる。左の「Spreadsheets」を押す(左)。ページ名称の入力を求められる(右)
このようにExcelライクに表組みが可能。罫線が引けないのは、GoogleSpreadsheetに劣る。用意されている関数は、平均値、個数カウント、最小値、最大値、IF文など。グラフも描けないので、表計算ソフトとしての機能は最小限だと考えよう。ただし、Excelからコピー&ペーストできるのがJotSpreadsheetの特徴。丸で囲んだ「insert」を押すと……
このようなポップアップ(といってもページ内でだが)が現れ、Excelのシートをここに貼り付けろとメッセージが現れる
パーミッションの設定(ページの読み書きをどのユーザーに許すかという設定)はけっこう細かくできる。読むのをどのユーザーまで許すか、書き込みをどのユーザーに許すかなどを、Wiki全体だけでなく個別のページでパーミッションを変えられる

 表計算としての機能は、“一応計算もできます”くらいでしかないが、スプレッドシート型のWikiという考え方は表文化の日本人に案外合うだろう。複数人が閲覧したり、自分の担当部分に数字やマルバツを書き込むという使い方には、JotSpotのようなWiki的Webアプリケーションが向いている。

 現時点では操作感や反応速度などに難があり、すぐに共有Excelファイルの代わりになるわけではない。しかし今後の発展が楽しみなWebアプリケーションだ。関数やグラフなどの表計算的な機能を充実させるよりも、罫線や文字サイズなどワープロ的な機能、そしてExcelシートをビジュアル重視で読み込める機能の強化がカギになるだろう。

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