Webベースのスプレッドシートというと、関数の多寡やグラフ機能など“計算”に焦点が当たり気味。しかしExcelユーザーの多くが求めているのは、表組みワープロを共有できることだろう。“表計算のWiki”であるJotSpotを試してみた。
PCのアプリケーションでファイルを作ってメールに添付して回覧したり、ファイルサーバに置いてみんなで共有したりすると、「あれ? このファイル、誰まで回覧終わっているの?」とか「だれかがファイルを開きっぱなしでロックされていて見られない!」といったことになりかねない。もちろん最新のアプリケーションとサーバアプリケーション(Office2007、Groove、Sharepointなど)を使えば、複数人で1つのファイルをいじる仕事もやりやすくなるわけだが、そもそも論からいえば、こういう仕事こそオンラインのWebアプリケーションに向いているだろう。
さて、Excelといえば言わずと知れたオフィスソフトの雄。ほかのアプリケーションはともかく、Excelを使わないビジネスパーソンというのは滅多にいない。
ところがExcel利用のメインは“表計算”以外というユーザーがかなりいる。ピボットテーブルとか関数とかはもちろん、数式でさえ全員が使っているわけではない。
「おまえ、この見積書、合計の数字違っていない?」
「ええ!? ちゃんと検算して入力したんですけど」
「──検算って、電卓で計算してExcelに入れたのかよ……」
極端な例だが、こんな話さえ聞いたことがある。
実際のところ、Excelが表組みが簡単なワープロとして使われている場合も多い。Googleで「Excel ワープロ」で検索してみると、「Excelをワープロ代わりに……」というページが山のようにヒットする。『Excelをワープロ代わりに使う業務文書作成入門』という書籍まであり、日本人とExcelの相性の良さが分かる。
複雑な計算ではなく、表組みワープロが使いたいのであれば、スプレッドシートのWebアプリケーションも使い方次第では便利だ。
「JotSpot」は、WikiベースのWebアプリケーションだが、普通のWikiと違うのはWYSIWYGで入力が可能なこと。そしてスプレッドシートが使えることだ。Wikiで表を扱うのはけっこう面倒だが、Excelで見慣れている表の画面なら気軽に操作できる。
表計算としての機能は、“一応計算もできます”くらいでしかないが、スプレッドシート型のWikiという考え方は表文化の日本人に案外合うだろう。複数人が閲覧したり、自分の担当部分に数字やマルバツを書き込むという使い方には、JotSpotのようなWiki的Webアプリケーションが向いている。
現時点では操作感や反応速度などに難があり、すぐに共有Excelファイルの代わりになるわけではない。しかし今後の発展が楽しみなWebアプリケーションだ。関数やグラフなどの表計算的な機能を充実させるよりも、罫線や文字サイズなどワープロ的な機能、そしてExcelシートをビジュアル重視で読み込める機能の強化がカギになるだろう。
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