「学生が本音を言いたくなる面接」ができるオフィスって?JFMA FORUM 2007

仕事環境に関するコンサルティングを行っているリンクプレイス。同社が採用面談に利用している部屋は、明るい色を基調として随所に会話を誘う工夫をこらしている。学生の緊張をほぐし、本音で語ってもらえるようにするのがポイントだという。

» 2007年03月22日 22時22分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 現在、就職市場は売り手市場だという。就職氷河期世代の筆者としては「ちょっと生まれた年がずれるだけで、こんなに違うのか……」と感じてしまうのだが、景気の浮き沈みによるものだから仕方がないのだろうか。

 オフィスファシリティの展示会「JFMA FORUM 2007」がパシフィコ横浜で23日まで開催されている。会場では、企業の仕事環境に関するコンサルティングを行うリンクプレイスが、学生との面談に利用している自社オフィスの一部屋を再現した。

 リンクプレイスは元々、人事コンサルティングを行うリンクアンドモチベーションの一部門だったが、2004年に分社化。なお、リンクアンドモチベーションは2000年の設立当初からオフィス環境に力を入れており、本社オフィスは2001年に日経ニューオフィス賞の経済産業大臣賞を受賞している。

 仕事環境についてコンサルティングする“オフィスのプロ”であるリンクプレイスが、自社の大事な人材採用に臨む部屋は、一体どんな環境なのだろうか。

学生の“堅さ”をほぐす工夫を凝らす

 1対1の面接に使っているという部屋は、薄いベージュのソファーや明るい木目調のテーブルなど、柔らかな雰囲気だ。色彩心理学上、自然の色が周りにあると、リラックスして心を開きやすいからだ。「面接というと堅くなってしまいがちな学生に、本音で語ってもらうことが大事です」(会場スタッフ)

 企業の特性を打ち出すために、部屋の中にアクセントとして会社のイメージカラーも使っている。このイメージカラーは「カラースキームメソッド」というリンクプレイス独自の色に関する理論に基づいたものだ。言葉にできないイメージを色で表わす手法で、「進歩的な」「スピーディな」などの形容詞と色を結ぶアンケートを通して決めていく。

リンクプレイスが採用面談に利用している部屋の再現。明るい色を基調とし、真正面から向かい合うことを避けるためソファはL字型だ。アクセントとして、同社のイメージカラーである赤を使った絵画が2点置いてある

 学生の“堅さ”を取り除く工夫は色使いだけではない。硬い椅子に長時間座っていると疲れてしまう。柔らかいソファーを使うのもそうした気配りなのだ。形は、面接官と学生が90度の角度で座れるようにL字型にした。「真正面から向かい合っていると、どうしても緊張してしまいますから」

 十分リラックスしてもらったら、今度は話のきっかけ作り。手軽なきっかけはやはり飲食だろう。部屋にはコーヒーメーカーが備えられており、面接官が飲み物を出す。そしてテーブルの上にはコイン型のチョコレートが。このチョコレート、片面は自社グループのロゴ、もう片面には帆船のマークを配している。帆船はビジネスを航海にたとえる同社のシンボルだ。

部屋に備え付けられたコーヒーメーカー(左)と帆船マークのチョコレート。話のきっかけにするための工夫だ

採用パンフレットは「飛び出すオフィス」でポリシーを表現

 リンクプレイスは採用パンフレットも一風変わっている。パンフレットを開くと立体化し、同社の1フロアを紹介しているのだ。「Kennedy」「Darwin」など偉大な先人の名前をとった部屋があり、Kennedyなら「統率・魅了」、Darwinなら「成長・進化」など、それぞれの部屋が目的とするものを紹介している。

学生向けのパンフレット。開くと立体的になり、同社のオフィスを紹介している

 このオフィスは「ビジネスとはコミュニケーション活動である」という同社のポリシーを表現している。企業の理念を対外的にアピールする1つの方法として、オフィスデザインに目を向けてみるのもいいのではないだろうか。

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