日立は2004年からグループ各社のオフィスをそれぞれの業態に合うように改革してきた。その中から営業・SE部門、シンクタンク、コンサルティング企業の3例を紹介した。これらの執務スペースはすべてフリーアドレス制で、業務に合わせてデスク配置を工夫している。
日立製作所は、2004年からグループ各社のオフィスをそれぞれの業態に合うように改革してきた。それぞれの職種や業態に合わせた働きやすい業務環境を提供することによって、ホワイトカラーの知的生産性やモチベーションの向上を狙う。さらに、魅力あるオフィスデザインによる企業プレゼンスの向上や、オフィスの利用効率の改善によるコスト削減などが見込めるという。
日立はこれらの経験をもとに、それぞれの職種や業態に合わせた最適な業務環境を提案し、ホワイトカラーの知的生産性を向上させる「ワークスタイル改革ソリューション」を4月11日から提供する。ワークスタイルを診断してデザインし、システムインテグレーションを含めたワークスタイルの導入支援、定着化支援やアウトソーシングサービスまでワンストップで引き受ける。
4月9日に都内で行われた記者説明会では、実際に改革を行ったオフィスの例を披露した。営業・SE部門は日立の情報・通信グループと産業・流通システム事業部。シンクタンクの例は日立総合計画研究所、コンサルティング企業は日立コンサルティングの各オフィスだ。この3オフィスはすべてフリーアドレス制で、業務に合わせてデスク配置を工夫している。
一般的には、島型や対向配列などがポピュラーなデスク配置だが、日立が考えた“業務に合ったデスク配置”とはどのようなものなのだろうか。
営業やSE部門で働く人は社内にいることが少ない。日立製作所情報・通信グループ 産業・流通システム事業部の場合も、平均の在席率は約60%だった。そこで、執務スペースをフリーアドレス化してフロアスペースを33%削減した。
一方、フリーアドレスにすると社員同士のコミュニケーション不足が問題になりやすいので、それはITで補う。ネット接続はセキュリティに配慮し、社外からでも安全に社内にある情報を取り出せるものにする。これによって社外や客先でも打ち合わせをしやすくした。
シンクタンク部門の事例としてオフィスを改革した日立総合計画研究所のテーマは“ブレインストーミング”だ。執務スペースで目につくのは、席を六角形に配置していること。一般的な直線配置だと「一番端の席が上司の場所」などのヒエラルキーが生じてしまう。自分のエリアを保ちつつも、円形に近い座席配置で平等にディスカッションができる、ということでこの配置になった。案件によってチームを組み、同じチームの人と近くに座ることになる。
コンサルティング部門には守秘義務がある。顧客の情報が外部の人に漏れてしまっては大問題だ。そこで、日立コンサルティングでは来客スペースと執務スペースは完全に分離し、執務スペースには外部の人を入れないことにしている。
執務スペースの机の配置は“流れ”を表現して席を横並びにしている。コンサルティングのプロジェクトは「企画」−「実行」−「チェック」というサイクルがある。この流れを机の配置にも反映したものだ。
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