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» 2007年08月31日 22時32分 公開

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:“代替可能な営業マン”から脱却する方法

顧客と付き合っていくポイントの1つは「親友になる」こと。代替可能な単なる営業マンからビジネスパートナーへ、掛け替えのない人生の大事な友人へとステップアップするのである。

[樋口健夫,ITmedia]

 顧客と付き合っていくポイントの1つは「親友になる」ことだ。誰とでも仲良くなる平面的“お付き合い”ではない。生命保険の勧誘だったらそういうお付き合いも大事だろうが、営業としての付き合いは、まず相手との接点を定めていく。

ステップ1:基礎情報を収集する

 顧客の中での親友候補は結構ピンと来るものだ。筆者の場合、好奇心が強くて話し方や聞き方が好意的な相手に付き合いを深めていきたいと感じる。仕事から離れても、その人と付き合っていきたいと思うなら、営業であれ技術であれ、ごく自然なアプローチが重要だ。仕事の打ち合わせであっても、その人が話している内容、特に関心事に関しては自分のノートや手帳に書き込む。キーワードだけでもいい。

 特定の商品、あるいは素材や新製品、新しいシステムなど何でも構わない。自分のノートにどんどん書き込んでおく。これが後でポイントになってくるから必ずメモしておこう。

 もちろんその人が関心を持っているものが、あなたの関心事と一致しないことがよくあるが、あまり気にしなくてもよい。仮に顧客の1人が、飛行機に関心を持っていそうなことを言ったとする。最新の航空デザインや戦闘機の名前、関連する技術など、もちろんあなたが知らないこともたくさんその顧客は知っている様子だ。

 打ち合わせが終わって帰途につき、自席のPCを立ち上げて考え始める。「航空機」「最新鋭」「デザイン」などをGoogleで検索する。探してみるとたくさんの関連情報が検索できるのはBiz.IDの読者には改めていうまでもない。

ステップ2:最新情報をメールしてみる

 さらに情報の鮮度をチェック。ブログの情報であれば1週間前とか、数年前とか、公開された日時がすぐ分かる。ブログ以外のサイトでも日時が記載してある場合が多いので、必ず確認しよう。相手の関心を引く情報であっても、古くて陳腐化した情報であれば意味がない。関心を引かないばかりか、失笑を買う恐れもあるからだ。

 もちろんすべての情報を把握することはできないが、できる限り最新の情報を狙う。航空機に興味がある顧客には新型航空機、例えば世界初の総2階建ての超大型旅客機「エアバスA380」である。それの写真が出ていれば、「こんなものがありました。ご参考まで」とURLをメールで送ってみよう。

 通常は、ごく簡単な礼状が届く程度ではないだろうか。「大変興味深い情報をお送りいただきありがとうございます」──この程度の返事では「その方の本心は不明」と言わざるを得ない。だが、こうしたやりとりの後であれば、また飛行機の話題も出せる。再度、相手の興味を聞き出すことができるわけだ。

ステップ3:相手の知らないことを伝える

 今度はメールではなく、ほかの手段も考えよう。航空機の美しい機体の写真がインターネットに出ていれば、その写真を保存して印刷し、写真を手土産に、顧客に会いに行くのもいいだろう。例えばボーイングなどが開発している無人実験機「X-48B」である。元データによっては鮮明ではなくなってしまう可能性もあるが、A4サイズまで見事に拡大したカラー写真の臨場感はすごい。これも客先との話題になることは間違いない。

 筆者が提唱するアイデアマラソンも上手に活用したい。客先の興味や関心をアイデアとして書き込んでおく。毎日書き込めば、先方の興味・関心のチェックノートにもなる。こうしてどんどん書き入れていけば、客先との話も次第に熱を帯びるだろう。

 こうした行為を繰り返すと、相手の知りたい最新ニュースを探し出すことがどんどん簡単になる。「すごい情報ですね。驚きました」「どこでこんなのを見つけましたか」などの返事を受け取り始めるのだ。相手が知りたい情報を、相手が知らないうちに伝えることができれば、あなたの価値は大いに上がる。

 このようなやり取りを1年か2年続けていれば、当然ながらあなたは顧客に親しみを感じ、顧客もあなたと1杯飲みながら話をしたいと思うのが流れだ。代替可能な単なる営業マンからビジネスパートナーへ、掛け替えのない人生の大事な友人へとステップアップするのである。

今回の教訓

“代替可能な営業マン”からの脱却はコミュニケーションから──。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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