年末までに、そろそろ名刺整理しませんか樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

今年も相当な数の名刺が溜まった――。机の引き出しに乱雑に投げ込んでいないだろうか? 単純に輪ゴムで留めていないか? 背広の胸ポケットに数枚の名刺が領収書と一緒に入っていないか?

» 2007年12月15日 12時22分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 今年も相当な数の名刺が溜まった。毎年年末になると名刺を整理する、という人も多いはず。机の引き出しに乱雑に投げ込んでいないだろうか? 単純に輪ゴムで留めていないか? スーツの胸ポケットに数枚の名刺が領収書と一緒に入っていないか?

新人1年目レベル

 すべてのスーツ、財布、机の上、引き出し、名刺を粗末にしていると、仕事が広がっていかない。名刺が見つからないで、非常な手間が掛かったり、連絡が取れなかったり、相手の名前を再度聞き直しすることで、たかが名刺に泣かされることもある。

 さあ、自分の周りの名刺を集めてみよう。すでに100枚以上あるとすれば、最初の名刺の整理は、コクヨの「ネームカードケースミニ」(最大約400枚収容)がオススメ。アイウエオ順に並べるのもいい。コンパクトなので、これなら机の引き出しに収まるはず。

入社数年後レベル

 2年目の中頃には、このネームカードケースミニでは手狭になる。ミニを2箱という人、ミニじゃないネームカードケース(約1000枚収容)に移動する人もいる。でもここでご用心。箱に入らないからといって、ばっさりと名刺を捨てるのも早急過ぎることがある。

 世の中には、不要な名刺は早く捨てろというアドバイスもあるが、厄介なのは、普段は不要と思っている名刺が急に必要となってくる場合。個人名だけでなく会社名だけでも活用できることもあるから、廃棄には注意が必要だ。きちんと整理しておけばほかの部門にも役に立つ。

 名刺入れでは、筆者は出て行く(自分の)名刺入れと、入ってきた(お客の)名刺入れを2つ、別々にしてマジックテープでまとめていたこともあった。100円ショップのアルミの名刺入れを2つ重ねて、小さく「OG」(アウトゴーイング)、「IC」(インカミング)と書いていたものだ。

 これは結構便利なのでオススメだ。自分の名刺とお客さまの名刺を簡単に区別できることと、お客さまの前でほかの客の名刺を渡しまうことを防ぐことができる。名刺入れを開けて、他社の名刺をポロッと見せてしまうことは恥ずかしい。競合社の名刺なら、取引中止にもなりかねない。

 名刺が溜まり始めたら、リヒトラブの「フィット名刺ホルダー(A4タイプ)」で社名のアイウエオ順でファイリングするといい。小さな会社や個人の名刺は、その他のファイルを作ったり、重要な顧客は専用のファイルを作ったりしてもいい。こうして、数年経つと、数百枚の名刺が溜まってくる。

 筆者が今日も愛用している名刺ケースはレイメイ藤井の「Bloomsbury NN286」。100枚の名刺が入る、マチ付きの携帯用本革製ケースだ。これには大切なお客80枚と自分の名刺20枚を入れている。お客と自分の名刺の間には手作りの透明スライドで仕切っている。並び順はアイウエオ順。ズボンの後ろの右ポケットが定位置。大切なお客様を80名“持ち歩いている”のだ。

愛用の「Bloomsbury NN286」。名刺を100枚入れられて、定価2940円。筆者はアイウエオ順に仕切っている

自動処理レベル初級

「BizCard NS-NB2」。20枚の名刺を一度に読み込める

 名刺情報のポイントは、名前とメールアドレスと電話番号だ。特にメールアドレスは、最高のビジネス利用価値がある。メールアドレスをデータ化するのと同時に、メールで挨拶を送ることは必要だが手間が掛かる。

 ここで名刺リーダーの出番となる。筆者はコクヨの名刺リーダーの1枚用「BizCard NS-NB1」と20枚用「NS-NB2」の2機種を使ってきた(2機種ともすでに生産終了)。PCのUSB電源だけで動くのもうれしい。これですでに1300枚ほどの名刺をデータベースにして一覧表にしていた。

 ただ精度の問題は残る。初期の名刺リーダーは、間違いが多かったり、英語を読まなかったりしていたが、コクヨのBizCardは英語も読めるし、精度もかなり向上した。それでも細かいところを修正する必要がある。BizCardではスキャンした後、左画面に名刺の写真が出るので、「会社名」「氏名」「電話番号」「メールアドレス」だけを、自分で再チェックする。これだけでもやっぱり時間はある程度かかる。

大量名刺自動処理極めつけ

Link Knowledgeのセット

 データ化して不要になった名刺は捨てたつもりでも、名刺はどんどん溜まっていく。筆者が主宰するアイデアマラソン関係のセミナーや講演会だけでも年間数十回。それぞれ1回につき20枚ずつの名刺が集まれば、名刺の数は講演会関係だけで数百枚を軽く超える。

 筆者の名刺データベースは、保存レベル(万が一を考えて、1年ほど保存)で 3000枚、活性確認レベル名刺(必要になる予感がする)で1800枚。実働レベル(日々の活動に要るが持ち歩くほどではない)で1000枚、ズボンの後ろ右ポケットレベル(必須の名刺)で80枚というところだろうか。

 2007年9月に「Link Knowledge」という企業向けの名刺と企業情報のサービスが始まった。三三という会社が始めたサービスで、操作用の小さなタブレットPCとPFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」で名刺を読み取る。読み取ったデータは、10分後に三三の名刺処理センターに自動的に伝送。センターのオペレーターが名刺1枚1枚の内容をチェックしてデータベースに入力する。人手を利用するので、名刺リーダーでは間違うことの多い細かい字のメールアドレスも正確に入力してくれる。いったん入力されたデータからメールを出すことも可能だ。

 筆者の場合、導入初日だけでも300枚ほどの名刺を1時間もかけずに処理できた。スキャナの蓋を開けて、スキャナの名刺幅のスロットに数十枚を、ポンと置けばそれでおしまい。これで筆者の仕事は週に3時間ほど節約できた。すでに1300枚の入力を終えて、必要部分を印刷して持ち歩いている。

 名刺の処理は、みんな困っている。上司や先輩たちも、やっぱり机にばらばらとしていることを考えると、部内、社内での名刺データベースの利用を提案することも、いいだろう。部内の全員が持っている名刺データを全員が共有できる――。これは営業の部署としては理想型だろう。月額10万円のコストがかかるが、10万円以上のメリットはある。名刺データを社内で共有して、徹底的に使う時が来たのだろう。

樋口選「名刺整理グッズ」
名刺規模 対応グッズ
10枚から50枚 100枚名刺入れ、名刺の空き箱
50枚から200枚 リヒトラブのフィット名刺ホルダー、コクヨネームカードケースミニ(400枚収容)
300枚から500枚 コクヨネームカードケース(1000枚収容)、小型名刺リーダー
グループにて数千枚以上大量の名刺 Link Knowledgeなどの集中読み取りと名刺データベース

今回の教訓

名刺が“迷刺”にならないように――。


著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

好評販売中の「ポケット・アイデアマラソン手帳'08」。1年間に1000個のアイデアを書きとめよう

 1946 年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら


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