デジタル機器をたくさん持っていて困るのは、いつだって電源――。電源タップの売り場を見ると、よく分かる。6〜7個の口を持つような電源タップも用意されているが、この口数と自分の持ってる機器の数を合わせて安心してはいけない。その7個口は、本当に全部使えるのだろうか?
デジタル機器をたくさん持っていて困るのは、いつだって電源のことだ。
みんな電源には苦労しているのだ。それは電源タップの売り場を見ると、よく分かる。基本的には、こんなふうなのがたくさんある。アース付きのもの、抜け防止のためにひねってロックするタイプ、それぞれのコンセントにスイッチがついているタイプ、などなど。しかし購入には注意が必要だ。
6個口、7個口と、いろんな電源タップが用意されているが、この口数と自分の持ってる機器の数を合わせて安心してはいけない。その7個口は、本当に全部使えるのだろうか?
多くの場合、タップの向きは縦か横、すべて同一で、1列または2列に並んでいる、この配列が実はくせ者だ。自宅に帰ってもう1度差し込みたいプラグの形状を見てほしい。単にプラグだけのものなら問題ないが、デジタル機器の多くについている「電源」は、電源アダプタと一体になっているではないか。しかもその形状はバラバラ。多くの周辺機器についてくるこぶし大のアダプタは特に嫌な存在だ。
四角い塊からなんのデリカシーもなく生えた2本の出っ歯。どっちに向けてもかさばる立方体に近い形状、電気を供給先の機器に勝るとも劣らない体積と重量。本体が軽量コンパクトでも、出張の時にはアダプタだって持っていくのだ。本来ならばこれも含めて製品。メーカーにはもう少し頑張ってほしいところだが、実際問題としては状況が改善される様子はない。このメタボリックアダプタを1個挿すと、隣の席までふさがってしまうのだ。運が悪いと、アダプタ1個で電源タップの穴3個を占有してしまう。7人がけの席に7人座れるとは限らない。
例えばこの無印良品のタップは見事にコンパクトだが、アダプタによってはタップ2個分しか利用できないことだって珍しくない。
さらに気を付けなくてはならないのが、ひねってロックするタイプだ。思わぬプラグ抜けが防げるので安全性は高いが、着脱時は差し込みプラグを斜めにしなくてはいけないのだ。その時点で隣のプラグと干渉する場合は挿せない。かといって、余裕を持たせたテーブルタップはどれもデカくて邪魔だ。
自宅やオフィスでもこの状況、モバイルの場合はもっと深刻だ。旅先のホテルのコンセントは、まず間違いなく口数が少ない。最悪1個で自分の必要分を拾い出す必要があるし、そのコンセントが使いたい場所にあるとは限らない。
筆者の場合、出張時にはノートPC、携帯電話、デジタルカメラまでは必須である。目的や内容次第でさらに他の物が加わるから、多穴のタップは不可欠である。そんな私が用意するのがこの三つまたタップ。100円ショップでも売っているし、家電量販店でも300円以下で手に入る安価な物だ。
もちろんこれだけでも持っていればずいぶん違うが、出張の時はこれを2〜3個と、無印良品の延長コードをカバンに入れる。最初から多穴のタップもあるが、思わぬ状況への適応能力は断然こっちの方が上だ。もちろん直列にキャタピラー状につなげてもいいが、隣り合う穴を有効に使うなら、写真のように左右に広げて取り付けた方がいい。これなら中心の1カ所を除く6口は隣と干渉しないので、実用上まず間違いなく7口すべてが使用できる。
またこのセットなら、冷蔵庫やテレビ、スタンドライトなどがすでにコンセントを占有している場合でも、そのコンセントを抜いてタップを1個挿し、増えた穴の1つに延長コードを挿し、その先にあと2つのタップを挿せば、元あったスタンドライトなどを生かしたまま新たに5口利用できるなど柔軟な対応が可能だ。
ただし、調子に乗っていくらでもつなぐのは安全上オススメできない。このタップの場合、電流の許容範囲が最大15アンペア・125ボルト・1500ワットなので、トータルでそれ以上にならないように注意していただきたい。比較的消費電力の小さいモバイル系デジタル機器ではほとんど問題にならないが、ドライヤーなどは消費電力が大きいので、このタップの先に挿してほかの機器と一緒に使うのはやめた方がいい。たいていの場合は、タップ2個(5口)か3個(7口)で十分対応できる。
ゆるみとほこりは火災の原因にもなるので、このタップに限らず、使用に当たっては十分注意すること。
1974年、香川県生まれ。図画工作と理科が得意な小学生を20年続けて今に至る。TVチャンピオン「全国文房具通選手権」で3連覇中の文具王。現在は文具メーカーに勤務、文房具の企画開発を行っている。2006年「究極の文房具カタログ」上梓。文具サイト「TOWER-STATIONERY」を主催。
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