インタビュー
» 2008年01月16日 16時00分 公開

小飼弾氏に聞く: 会議についてどう思いますか? (2/5)

[小野和俊,ITmedia]

小飼 大相撲の場合でも、サマライズしようと思えば、対戦した力士の名前と決まり手を書けば最低限の情報は伝わる。一方で、飛んで行く汗の迫力を見て初めて相撲を見たと人もいるし、せめてハイライトくらいは見たいという人もいる。スケーラブル・サマリーとでも言うのかな。人によって、どのレベルのディテールが必要なのかが異なる。

小野 スケーラブル・サマリーというのは面白いですね。例えば今のネットの世界には、入り口としての最低限の情報はものすごく充実している。でも入り口がすごく充実する一方で、ディテールを知るために実際に出向くことができる先は時間的にも空間的にも限られている。入り口だけが爆発的に広がったように思えます。

小飼 昔と比べて、リアルとバーチャルの間にある段階が増えましたよね。相撲では、番付だけを見ることもできるし、ハイライトだけ見ることもできるし、直接見ることもできる。会議なんかでも、昔はリアルに参加するか議事録かしかなかったけど、テレビ会議があったり中継があったり、中間の段階が増えた。これはすごくありがたいこと。

 情報産業で作られているバリューの9割9分9厘はサマリー。情報をやりとりしている人はサマリーをやりとりしている。生の情報をそのままやりとりして満足することはない。帯域幅の問題で不可能ではあるけど、もしそれが可能になってもそれを良しとする人はいない。情報産業は言ってみれば小骨を抜いた魚のようなものだね。

「全部ネットでできる人は、よほど想像力がたくましい人か、逆に情念を必要としない人」

小野 私の中では、弾さんと言えばコミュニケーションのかなりの部分をネットで行っているイメージがありましたが、今日お話をうかがっていると、リアルを大事にしている印象を強く受けます。とは言っても、例えばPerlコミュニティーでの活動などで、海外のプログラマーと共同で開発したりと、時間的距離的にどうしてもリアルで会うわけにはいかないことも多いと思います。

小飼 リアルを大事にしているのは確かなんだけど、リアル至上主義ではいけない。今は東京というとても利便性が高い所に住んでいて、Twitterで勉強会をやろうということになればすぐ集まることができる環境。

 でも中にはポーランドとかハンガリーにいて、ダイヤルアップでつないでいるような人もいる。そういう人たちから見て自分がどう見えるかということを考えたりする。それでも、リアルは少し混ぜなければならない。全部ネットでできる人は、よほど想像力がたくましい人か、逆に情念を必要としない人の両極端だと思う。ストールマンクラスでないと100%あちら側は無理だと思う。一生に一度でも会っていると、そうでないのとまるで違う。

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