もうひとつ、「疑問・探索」というパターンも紹介しておきましょう。これは、「疑問」をはっきり意識してからそれを「探索」する努力を重ねて解決するというものです。
前述のアルコールランプ実験のあと、「モノが燃えるためには空気中の酸素が必要である」という話をする時にこの「疑問・探索」パターンを使います。
- 「さっき、火が消えた時、この密閉容器の中の空気には何か変わったところは見えたかな? なかったよね、何も」
- 「でも、フタを取って新しい空気を入れてやったら、また火がついたよね? つまり、新しい空気のほうには火を燃やす力があるわけだ。どうしてだろう?」
- 「つまり、空気の中に何か、モノを燃やす力のあるものが入っていて、それを使い切ったら火は消えちゃう。使い切る前に新しい空気を入れてやるとまた火がつくわけなんだけど、じゃあ、モノを燃やす力のあるもの、って何だろうね?」
- 「何しろ見かけは全然違わないから、何だかよく分からない。昔はそれが分からなくて、何なんだろう何なんだろう、って調べるのにすごく苦労したんだよ。で、それがやっと分かったのが200年と少し前。ラヴォアジエという学者が、モノが燃える時には空気中の『酸素』を使うということを発見したんだ。今だったらこれだけで間違いなくノーベル賞を取っていた、そんな偉大な発見だったんだよ」
「到達劇」や「逆転劇」の場合は主に最後の「達成!」や「逆転!」が重要ですが、「疑問・探索」の場合は最初の「疑問」を念入りにイメージさせると効果的なようです。
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