以上、ここまで紹介した「到達劇」「逆転劇」「疑問・探索」の3つがよく使われるシナリオパターンの“3傑”です。4番目としてもうひとつ、「転換点」パターンというものもありますが、その話は私のメルマガ「読み書き図解力を鍛え直すマガジン」3月24日号に書きましたのでそちらでご覧ください。
何にしても、娯楽系のドラマと違って、「教えるためのシナリオ」は単純なものでいいんです。誰にでも見え見えなほど単純でいっこうに構わないので、ぜひ考えてみてください。
現実には、このような単純なシナリオも組まずに、「構造」をそのままボソボソと読み上げてそれで「教えた」気になっている先生が少なくありません。そのために「専門知識の教育」がうまくいっていないとしたら、大変もったいないことです。
専門知識を教える「先生」は、通常、専門知識自体の習得に労力を費やしているので、「教えるためのシナリオ」を考える習慣を普通は持っていませんし、シナリオを考えようとしても最初はなかなか取っつきにくいかもしれません。でも、ご覧の通りごくごく単純なパターンでいいんです。「これは到達劇か? それとも逆転劇か?」そんなふうに自問してシナリオを考えてみてください。それが、漢文の授業中居眠りばかりしていた私からの切なる願いです。
当連載でここまで扱ってきた「専門知識を教える技術」についての本が出版されました! 書名は『ITの専門知識を素人に教える技』(Amazon.co.jp)です。
8月22日(金)に、専門知識を教える集合研修の現場での「講師」としてのアクションに特化したセミナーを開催します。プレゼンテーションとは違う「専門知識を教える」ための問いかけ、間の取り方、言葉遣いといったティーチングのノウハウを、自ら考えながら身につけたい方はこの機会を逃さずご参加ください。
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IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『図解 大人の「説明力!」』
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