花見で株ゲーム――酒なしの寒い場所取りをホットに楽しむアイデア創発の素振り

ようやく花見のシーズン。寒くて退屈な場所取りは若手の仕事。「寒いし暇だし酒でも飲んで――」と言いたいところだが、上司の来る前に飲むことはできない。そこで、株の投資をモデルにしたボードゲームで勝ち負けを競いながら、知的に、ホットに場所取りを楽しみたい。

» 2008年03月28日 14時00分 公開
[石井力重,ITmedia]

Biz.ID編集部から

 桜も咲き始めた今日この頃、Biz.IDでは新連載「アイデア創発の素振り」を始めます。アイデアを花のように咲かせるにはどうしたらいいのか――。こんなことをテーマに、あのブレインストーム支援カードゲーム「ブレスター」を作った、仙台のベンチャー企業デュナミスの石井力重さんが、発想を豊かにするゲームや思考法などを紹介します。


 よく会議の雑談で上司が「A社の株価、やはり下がり始めたな。円高だしな」なんていうことがある。「はあ〜」なんて生返事ばかりじゃなく、雑談くらいは気軽に会話したいもの。そもそも株価の変化が予想できるのは、なぜだろう。そこで、お勧めしたいのが“株の売り買い”という活動を分かりやすく学べるボードゲーム「株ゲーム」。ゲームを通じて株価の仕組みを学べるのだ。ゲームは簡単だが、判断次第で最終的な資産には大差がつき、かなり盛り上がる。社会の出来事と株価の関係も自然と学べるだろう。何といっても、戦略的にお金を動かしていくのは、発想力のいい刺激となる。

 ただ問題は時間だ。同僚たちも忙しい。ゲームのためだけに長い時間をとることは難しい。そこで、これからの時期、若手の雑用の1つである“花見の場所取り”を有効活用したい。場所取りは、数時間なにもすることなく拘束された同僚がいるし、花見会場なので大盛り上がりしても怒られない。さらには、いつ職場の人が来ても「投資の勉強を」と言い訳が立つので、安心してゲームに熱中できる。花見の場所取りは、株ゲームをするにはもってこいの機会なのだ。

 「株ゲーム」という何ともダイレクトな名前のこのゲームは、株式投資の雑誌「ZAi」が企画した。どでかいピンクの箱は重さもかなりあって、株式暴落で崩れ落ちる人たちのマンガなどが描かれている。

 箱を開けると三つ折りのボード。広げてコマやカードを並べる。ボードの周囲にそってカードをはめ込むところがあり、そこに景気をあらわすカードをシャッフルして入れていく。すごろくと違って、遊ぶたびに起こるイベントが変わるところが面白い。

 さらに、すごろくと違うのは、皆で1つのコマを進めるところ。「ZAiコロ」と呼ばれる多面体のサイコロを振るとコマが進んだり、「持っている株券を売れ」などと要求されたりする。ボードは1周が1年に相当。2年間の投資活動で得た資産の規模で勝負が決まる。

コマをボードに差し込めるので、風が吹いてもコマが飛んで行ったりしない。外で遊ぶにはうってつけのボードゲームだ

 まず初めの資金で、各社の株を選んで買う。もちろん持っている株券次第では、半期ごとに配当もあり得る。サイコロの出目で株価が上下するため、買うべきタイミングを逃したり、株価低迷で倒産リスクの高くなった株券を泣く泣く売ったりと、頻繁に意思決定を迫られるのだ。面倒ならば、初めに買った株を長く持っているだけでもゲームは成立する(強制イベントがあり株券を売らされることはあるが)。

 仮想のお金とはいえ、増えたり減ったりするのは、自分の運や判断能力によるもの。プレイの局面にその人の性格が現れ、悲喜こもごもである。初めは「まあやってみるか」と参加者した人も、最後は「やったぜ、元金を倍にしたぞ」とか「うお〜、あの倒産さえなければ……」なんてかなり盛り上がること必至だ。

 このゲームを注意深く見ていると、株式投資の基本が自然と分かるようになってくる。何が起こると株価が下がるのか、どういうタイプの株を長く持っていることが得なのか。そんなことを理解できるのである。


 寒くてつらい、長時間の場所取りは、実は同僚たちと親睦を図るチャンス。でもそれだけじゃもったいない。知的なアイテムを持参して、ホットに盛り上がりつつ、投資の基本的な戦略を学ぶ時間にしてみてはいかがだろうか。

製品名 価格 発売元 購入場所
一番売れてる株の雑誌ZAiが作った「株」ゲーム オープンプライス(想定価格8190円) アイデス ジュンク堂書店 仙台ロフト店

著者紹介 石井力重(いしい・りきえ)

著者近影

 事業のアイデア創造支援や技術開発をサポートする事業化コーディネーター。仙台のベンチャー企業デュナミスが事務局を務める創造性育成ツール開発プロジェクトでは、プロジェクトリーダーを務めた。このプロジェクトで誕生した新商品が「ブレスター」である。みやぎものづくり大賞(2007)で優秀賞を受賞。社会人院生として、東北大の博士課程にも在籍、新事業創造マネジメントや創造工学を研究。Webサイトは「石井力重の活動報告」


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