ペンにメモリに充電池――MoMAが選ぶ「日常使える日本のアート」80選

イカ型のUSBメモリに「eneloop」、クリップ型のボールぺンに再生紙製バッグ――ニューヨーク近代美術館(MoMA)のミュージアムストアでは「日本のデザイン」を厳選、展示販売する限定企画「Destination:Japan(デスティネーション・ジャパン)」を開催している。

» 2008年05月16日 22時20分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 ニューヨーク近代美術館(MoMA)が運営する国内唯一のミュージアムストアMoMA Design Store(東京・表参道)は、7月16日まで「Destination: Japan(デスティネーション・ジャパン)」を開催。「日常使える日本のアート」を約80点集めて展示販売している。

 このイベントは日米のMoMA Design Storeで同時開催となる。ニューヨークの3店舗と表参道の1店舗で催されている。「Destination」は同ストアの人気企画だ。2年ごとに地域や国のデザイン品を独自の視点でフォーカスし、店内で展示販売する。これまでブエノスアイレス、ベルリンなどが選ばれてきた。今回は初めて「日本」が選出された。

「機能美」「楽しさ」を追及したら、デザインが認められて“モダンアート”に

 展示販売する約80点のデザイン製品は、MoMAの学芸員とバイイングチームが厳選した。今回登場するのは、全長90ミリと本体が短く、約7割がクリップ部という特徴の油性ボールペン、トンボ鉛筆の「PFit」(315円、替え芯84円)。ポケットやカバンなど、いろいろな個所にクリップ止めできる長さだという。あくまで「機能美」を追求したペンのデザインが、“モダンアート”として選ばれた。担当者も「なぜ選ばれたのか分からない」と、困惑の中にもうれしさを隠せない。

 「楽しさ」を追求した結果選ばれたのが、ユニークな形のUSBメモリなどを手がけているソリッドアライアンスの「みみいかUSBメモリー(富山県産)」(5980円)。同社の「イカシリーズUSBメモリー」の1つだ。

「PFit」はオレンジ、ピンク、グリーン、ブルーの全4色。ストアではオレンジとグリーンの2色を展示する。右の写真はグリーン色のクリップ部をデコレーションしたもの

サイズは48×74×20ミリ(幅×長さ×奥行き)、重さは23グラム。メモリ容量は512Mバイト。「ほたるいか」や「あおりいか」など全3種類いる中で、大きな耳の「みみいか」を選んだのは“ミッキーの国”の学芸員ならでは?

シードの「アニマルバランス水族館」。同じシリーズで「アニマルバランス水族館」もあるが、“動物たち”が選ばれた

 また12種類の動物型消しゴムを、バランスよく土台の上に積み上げることで集中力や思考力などを高めようという、シードの“能力活性化”ゲーム「アニマルバランス動物園」(735円)などデスクトップアクセサリー類が並ぶ。

 デスクトップ周りに限らず、ピカピカした光沢感と「“紙なり”に頑張っている」から「雷バッグ」(8400円)と名づけられた再生紙製バッグもある。これは「エコロジーとエコノミーの共存」を掲げるNPOのThink the Earthプロジェクトと、障害福祉サービスの事業所OIDEYOハウスがコラボレーションしたものだ。

 また、ニューズウィーク誌日本版で「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれているデザイナー、吉岡徳仁氏の手がけた「スリットバッグ」(3675円)は、無数に入ったスリットによって、入っている内容物の形に合わせて立体的に変形する。さらに、1000回繰返し使えることでおなじみの三洋電機の充電池「eneloop」など多岐にわたる。

 7月16日まで約60日間、日本のデザイン力を世界にアピールする品々が店頭を彩る。「日常使えるアート」探しに出かけてみてはいかがだろうか。

左が「雷バッグ」、右が「スリットバッグ」

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