これじゃカバンも重くなる “防虫ガジェット”が海外出張の思い出樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」(1/2 ページ)

どこでもべープ、Dettol、モスキートヘッドネット―。これが筆者が現在もほぼ持ち歩いている“防虫ガジェット”。その昔、アフリカに出張した時、マラリアにかかった。4日か5日で突然の高熱。いくら布団をかぶっても寒くて震えるほどの経験が防虫ガジェットの持ち歩きにつながった。

» 2008年06月05日 21時00分 公開
[樋口健夫,ITmedia]

 西アフリカに駐在した時、ハンドポンプで殺虫剤をまき散らしていた。毎晩寝る2、3時間前、寝室に徹底的にまいておいて、臭いがおさまったころに寝ていた。当然、出張や旅行にもスプレー缶の殺虫剤を常に持参していた。マラリアが怖かったからだ。

蚊取りのスプレー缶は現在、飛行機に持ち込めません。手荷物にも預入荷物にも入れられませんのでご注意を。

 現地では、空港で待っている時も、映画を見ている時も、国際電話局で日本の時差に合わせて待っている時も、車の中や客先の事務所にいる時でさえ、スプレー缶をアタッシュケースに入れていた。レストランでは蚊取り線香を持参したこともある。虫よけの塗り薬はほとんど役に立たなかった経験がある。

 それからしばらくたって、小さな電熱式殺虫マットが考案された。小さな鉄道の切符サイズの青色マットを差し込んで、電熱器で温めると殺虫成分を放出するというもので、一枚で一晩の効果が見込めた。しかし、携帯するには不便。電源が必要だったので、ホテルの部屋で使う程度だった。相変わらず携帯していたのは、スプレー式の殺虫剤だった。

 そして最近、液体状の殺虫成分を放出する電気殺虫器が出てきた。液体の量によって、3カ月から半年の間、使い続けることができるので極めて便利。今も、東南アジアへの出張では持参することがある。

蚊取り線香と電熱式殺虫マット

マラリアをこじらせるな

 アフリカに駐在していた間、何度か軽いマラリアにかかった。ハマダラカという羽根に黒い斑点のある蚊で、刺されると強烈に痒い。いったんマラリアをこじらせてしまうと、数カ月間の入院生活を余儀なくされるケースもある。その結果、長期間にわたって体力が衰えてしまうのだ。

 筆者の場合、刺されて4日か5日で突然強烈な高熱と下痢が始まった。いくら布団をかぶっても寒くて震えるほどの高熱。ただちに病院に行って、強烈に痛い抗マラリア特効薬キニーネの注射をお尻に射ってもらった。初期対応が早かったのが幸いしたのか、マラリアをこじらせることなく、完治できた。

 マラリアのことをまったく知らない日本人が、東南アジアで初めてマラリアにかかったとすると、ひどい風邪にかかったように勘違いしてしまう。それが一番恐ろしい。マラリアは初期対応が最も重要だ。風邪だと思って風邪薬を飲んで、ひどい場合はウイスキーなどのお酒を飲んで済ませてしまう。こんなふうに医者に診せずに過ごすのがよくない。

 また、風邪だと思った翌朝に熱が下がってしまうのもたちが悪い。ケロッとして「ああ治った」と安心するのも当然だ。これは体内のマラリア原虫の増殖サイクルの過程で、いったん熱がおさまるだけで、翌日の夜には増殖したマラリア原虫が体内で暴れ始めて、さらに高熱が出る。まったく動けなくなるのだ。

 東南アジアからの帰国後で発熱した場合、マラリアの可能性もあるということは必ずを説明しよう。血液検査に手間取っている間に、マラリアの原虫が増殖してしまい、手遅れになってしまうこともある。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ