提唱者デビッド・アレンさんに聞く、GTD実践法Biz.ID×GTD!(1/3 ページ)

GTDの提唱者であるデビッド・アレンさんが来日、Biz.IDではアレンさん自身がどうやってGTDを実践しているかを聞いた。

» 2008年06月17日 19時10分 公開
[田口元,ITmedia]

 Biz.IDでも特集を重ねてきた海外の仕事術、「GTD」を考案したデビッド・アレンさんが来日した。GTDを効果的に実践するにはどうしたらいいか、気をつけるべきところはどこか、などを直接伺った。

GTDは習慣術──アレンさんの実践法は?

デビッド・アレンさん

 「GTDは瞬時に何かを解決するような製品、もしくはサービスというわけではありません。GTDは人々がもっと質の高い生活を送るための習慣術なのです」。ストレスフリーの仕事術として知られるGTDを編み出したデビッド・アレンさんはそう語る。

 GTDとは彼の著書、“Getting Things Done”の頭文字を取ったもの。現在では30カ国語に翻訳され、世界中のビジネスパーソンに読まれている。「今でも世界中の人からメールをもらいます。仕事に対するストレスが減り、自分の好きなことにもっと時間を使えるようになりました、と聞くとやはりうれしいですね」

 GTDを実践できるようになると、自分が求めている結果が明確になり、今取るべき行動がはっきりしてくる。「あれもこれもやらなくちゃ」といった混乱した状態から解放され、今すべきことに集中できるようになる。もしくは今すべきではないことを放っておいても大丈夫、という安心感を得られるようになる。

 この手法を考案したデビッドさん自身は、どのようにGTDを実践しているのだろうか。GTDを実践していると浮かんでくるさまざまな疑問を直接、彼にぶつけてみた。

GTDをマスターした状態とは?

 GTDを実践していると確かに仕事に対するストレスは軽減される。しかし、「これでいいのかな」「もっとうまいやり方はないのかな」という疑問もわいてくる。完全にGTDを実践できている状態とはどういったものだろうか。

 「GTDをマスターしている状態とは、(1) 頭の中に雑念がなく、今やるべきことだけに集中している状態か、(2) 雑念があったとしてもそれを取り除く方法を知っている状態です」。デビッドさんはGTDをマスターした状態をそう定義している。

 ここでのキーワードは2つある。1つは「雑念を取り除くこと」、もう1つは「集中すること」だ。

 頭の中にやるべきことを抱えていると、次々と心配事がわいてくる。頭は、よく忘れてよく思い出すからだ。だから気になることは思いついた瞬間に紙やWebなどの信頼できるシステムに書き出さなくてはならない。そうすることによって雑念を頭の中から取り除くことができる。

 そしてこの「雑念を取り除く」ための手法にはGTDの5つのステップが効果的だ。収集、処理、整理、レビュー、実行というプロセスを経ることにより、頭の中がすっきりしてくる。そして自分がやるべきことをいつでも把握している状態を作り出すことができる。

 また「集中する」ためには、デビッドさんが提唱する「ホライズンモデル」が効果的だ。これはそれぞれのタスクについて「人生の目的」「長期的目標」「中〜短期的目標」「責任」「プロジェクト」「次にとるべきアクション」の6段階で整理する作業だ。そうすることで「そもそもなぜこれをやっているのか」という目的と目の前の作業を結びつけることができる。そして意味がある作業をしているという実感を持つことで、より集中することができるようになる。

 「これらができるようになると仕事のストレスが減り、やるべきことを最小限の時間で片付けることができるようになります。そして余った時間で本当にやりたかったことをすることができるようになるのです。人によっては早く帰って家族と時間を過ごすことかもしれませんし、また別の人にとっては昔からやりたかったことに着手できるようになることかもしれません」

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