次にレーザー式プリンタのメリットを見ていこう。3点ある。
まず何といっても、モノクロのテキスト印刷の品質がインクジェット式よりクッキリ印刷できるところだ。さらに1ページを一気に印刷するため印刷速度が高速なのも、優れている点の1つだ。
また、製品自体がビジネス向けに進化してきた背景があるため、ビジネス利用に向く機能が豊富な点も見逃せない。トナーにしても最低でも千枚単位での印刷可能枚数が確保されているし、給紙枚数も、最低でもA4用紙で250枚〜300枚といった用紙給紙が可能になっている。
レーザー式のデメリットは、主に3点ある。
まず、インクジェット式と比べると本体価格が高いことだ。1万円を切るようなビジネス用のインクジェット式と比べれば、導入時のコストが高くなってしまう。
とはいえ、1995年ごろは本体価格が25万円前後というのが、A4カラーレーザー式の主な価格帯だったが、現在では10万円を切るまで下がった。それでもカラー対応の本体価格は、モノクロ対応に比べると高い。
2つ目は、トナーの価格もインクジェット式のカートリッジより高い。1本当たりのトナー価格は、モノクロならおよそ6000円(標準)〜1万5000円(大容量)くらいの価格帯、カラーなら7000円(標準)〜1万5000円(大容量)くらいの価格帯だ。一方、インクジェット式のカートリッジの場合、1個当たりおよそ1000円前後で済む。
保守点検品も高価だから、印刷で1枚当たりの単価は安くても、一度の出費が高額になってしまう。
また、インクジェット式に比べて本体サイズが大きかったり、かなり重かったりと、インクジェット式と比較して設置に苦労する製品が多い。大量給紙が可能だったり印刷機構が複雑なので仕方ない部分ともいえるが、設置スペースの確保といった部分では不利になるだろう。
印刷時の消費電力もインクジェット式と比べて高い。
ドクトルP というわけで、レーザー式プリンタについてまとめてみよう。まずメリットは
と、なる。デメリットは
こんなところだな。どうかな? 2人とも。
プリンちゃん レーザーは、速く印刷できるからビジネスにはよさそう。
ターくん だな。でも気になるのはやっぱりコストだよなあ。うちのチームはエコ、だからさ。
プリンちゃん そうよね。やっぱり先立つものは、機能より予算だもんね。
ドクトルP 確かに。次はインクジェット式とレーザー式の違いとメリット・デメリットを踏まえた上で、予算やそれぞれのチームに本当に必要な機能について、順を追って絞り込んでいこうか。
ターくん はい、何といっても急がば回れ、ですからね♪
ドクトルP そういうこと。学習したねターくん。じゃ、ちょっと復習してみよう。インクジェットのメリットは?
ターくん え? えーっと……。何……だったっけ?
プリンちゃん えええ!? 学習したの、急がば回れ、だけかいっ!
ターくん ……。
ドクトルP やれやれ……。
一抹の不安を残しつつ、プリンちゃんとターくんは予算の絞り込みへとコマを進めるのであった――。
プリンタには、インクジェット式レーザー式という分類のほか、家庭用とビジネス用という分類の仕方もあるのだ。それぞれが生まれた背景が分かれば、よりプリンタに対する理解が深まり、選ぶ際の基準材料になるだろう。
インクジェット式が登場した背景に、「安価で高精細な印刷環境を一般ユーザーに提供しよう」とするプリンタメーカーの姿勢がある。こうした背景によってインクジェット式のほとんどは、現在でも家庭用の製品が大多数を占めている。
インクジェット式に対して家庭用のイメージが強いため、ビジネス用インクジェット式でもこうしたイメージを持ってしまった結果、敬遠するビジネスユーザーがいるのも事実だ。
これに対してビジネス利用を前提に進化してきたのがレーザー式。だから、ビジネスにはレーザー式というイメージを持つユーザーが多い。
ビジネス用プリンタに求められる条件は主に4つある。
こうしたビジネス利用に求められる厳しい条件を満たしているかいないかが、家庭用とビジネス用の違いといえるだろう。
しかし、2001年以降は、ビジネス用レーザー式だけでなく、インクジェット式でもエプソンの「PX-B500」など、こうした条件を満たす製品が増えてきている。ビジネス用にインクジェット式を選んでも安心だ。
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