第17回 サル仕事には意味がある――「習っていないからできない」問題を解くヒント実践! 専門知識を教えてみよう(2/4 ページ)

» 2008年09月03日 13時00分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

「習っていないからできない」という発言に違和感

 私がこの「習っていないからできない」という発言を初めて聞いたのは、実は小学校高学年か中学1、2年か、それぐらいのときでした。発言の主は同級生の男子です。

 文脈としては、その前のテストで先生が授業でやっていない問題を出してしまったため、それに対して「そんな、習ってない問題できるわけがないじゃないですか」と彼が不満をもらしたというものでした。横で聞いていて不思議に思ったので、私は今でもそのことを覚えています。

 文章で書いているとニュアンスを伝えるのが難しいのですが、その時の彼の発言は、「習っていないことはできなくて当然で、それをテストに出すのは先生が間違っている」というような、完全に「自分は悪くない、先生が悪い」とする詰問調のものであり、「自分にその問題を解く力がなかったことが悔しい」という意識はまったく感じることができませんでした。

 それはちょっとおかしくないかと、当時は微妙に違和感を感じただけでしたが、今だったら私は彼に向かってこう言ってやることでしょう。

  • お前は習ったことしかできないのか?

 と。本来、人は「自分で考える」ことができるのですから、「習ったこと」以上のことができるはずです。しかも、「授業でやっていない問題を出した」といっても別に突拍子もない珍問奇問でもなく、落ち着いて考えればできても不思議はないような、そんな問題でした。

 それなのに「悔しい」という態度はひとかけらもなく、「習ってないことはできなくて当然」というその姿勢はなんなのさ? と私は彼の態度をたいへん不思議に思ったわけです。

 とはいえこの時の彼はまだ小学生ですから、「お前は習ったことしかできないのか?」なんて厳しいことを言うのもかわいそうです。今の私がタイムマシンでその時の現場に行ったら、別な言い方をすることでしょう。

 ところが、現在はこのような事例が小学生どころか大学、社会人にまで広がっています。これは非常に深刻な問題と言わざるを得ません。

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