今まで見てきたもの排泄物そのものは残っていた。だが原形を残さず、サラサラの粉末にしてしまうマジカルな非常用トイレがある。エクセルシアの「パウダレット」(10万円〜)だ。
パウダレットは、排泄物のかくはん機能を付けたバケツ兼便器になっている。別途違う器に排泄して、後からバケツに移し変えることも可能だ。
処理法はこうなる。まずバケツの中に排泄物を入れ、さらに粉状の薬剤を入れる。
手動ハンドルを30秒ほど回して、かき混ぜる。すると薬剤が化学反応を起こし発熱。発熱により悪臭の元となる菌も死滅し、90度に達すると水分が蒸発する。
そして最後は、サラサラの白い粉末になってしまうのだ。この粉末は薬剤と、排泄物の水分が抜けたものと、排泄物に含まれていた繊維などの混合物。
筆者も粉末の入ったガラスの小瓶を振ってみたが、サラサラだった。その中に羽毛のようなものが含まれていたが、これは繊維だという。
エクセルシアでは2008年9月、スケットイレなどのように、銀のアルミ袋に入れた排泄物に薬剤を振りかける方法で、大便のみサラサラの粉末に変える「ホワイトレット」(3日分5250円)も発売した。こちらはパウダレットと違い、小便は凝固剤で固める。
紹介してきた4つの非常用トイレを比較すると下の表のようになる。
製品名 | 主な特徴 | 自動/手動 | 薬剤の種類 | 薬剤を口に含んで安全か | 携帯性 | 電源 | 処理後の扱いやすさ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ラップポン | 1回分ずつまとめて自動パッキングする | ほぼ自動 | 1種 | ○ | × | 要 | ○ |
スケットイレ | 1つの薬剤で消臭・静菌・固化する | 手動 | 1種 | × | ○ | 不要 | △ |
水・不要 せいけつさん | 薬剤の1つが、非常時の生活全般にまで使える | 手動 | 2種 | ○(SS-P3) ×(凝固剤) |
○ | 不要 | △ |
パウダレット | 排泄物をサラサラ粉末にする | 手動 | 1種 | × | × | 不要 | ◎ |
震災後は水が止まり、さらに倒壊などで焼却施設も止まっている可能性があるから、排泄物を燃やすことすらできない。そう想定すると、インフラ復旧まで悪臭を抑えてくれる非常用トイレはもはや必須。あなたの会社にピッタリなトイレは、この中から見つかっただろうか。
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