読者 人が人の成長を自由にしようなんておこがましいとは思わんかね。
続いてはこちら。部下を思い通りに成長させるのはおこがましい――そんな読者からの質問です。
その方のおっしゃる通りです。他人の成長を自分の思い通りにしようだなんて考えることは、おこがましいにもほどがあります。
では、そのおこがましさの源泉とはいったいなんでしょう。私が思うに、それは「相手が望む成長の方向性を無視して、自分の都合を押しつけること」。こうなってしまうと、それはおこがましいことだと思います。
でも、相手が望む成長の形に手を貸してあげることは、おこがましいことなのでしょうか。そして、そんな成長に手を貸せるようにするためには、やはり「受け入れ、認める」ことが必要になるはずです。
部下がどのように今後の成長を考えているのか、その考えをきちんと受け入れて、その成長したい方向を認めてあげるわけです。
そうは言っても企業に属するビジネスパーソンは組織人ですから、組織内の役割があるじゃないですか。組織からは当然、その役割に沿った方向での成長を求められますけど、部下の成長の方向性と違ってしまった場合、どうしたらいいでしょうか。
それでもやはり、まずはじめにやるべきことは、部下が望むことを受け入れ、そして認めてやることだと思うんですよ。
その上で、「組織の求める成長の方向性はこちらなのだが、どうしたい?」と問いかけ、どちらを選ぶのかを部下自身に選択させるのもいいですし、部下の求める欲求と、組織の望む方向性との間にある共通点を見つけてあげて、そこを教えてあげるのもいいでしょう。ほかにもいろいろなアプローチがあるはずです。
ただ、いずれにせよ相手の意向を受け入れ、認めてやらないことには、そこから先に話が進みませんよ。「受け入れ、認める」ことを怠って部下をどうこうしようとしたら、それはもう「おこがましい行為」と言わざるを得ません。
部下にとっておこがましい存在にならないためにも、まずは部下を「受け入れ、認める」ことが必要というわけですね。
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