部下を育てるキモ「受け入れて、認める」を実践するための3つのQ&A部下をやる気にさせて育てる指導術(4/4 ページ)

» 2008年09月22日 08時30分 公開
[水野浩志,ITmedia]
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最初はぎこちなくてもいい

読者 ついにこういう話が「方法論」として語られてしまう時代が来たのか……。自身が学ぶ姿勢を持ち続けているなら自然にそうなるというだけの話で、これを意識してそう行動しようとしたってぎこちない大人になるだけだぜ。



 今回の最後の質問はこちら。いかがでしょう、水野さん。


 こちらの読者も正しいご意見だと思います。自身が学ぶ姿勢を持ち続けていたら、この方がおっしゃるとおり、私なんかがとやかく方法論を振りかざさなくとも、皆さん、立派な上司となることでしょう。

 しかしながら、そうありたいと思いながらも、なかなかそうなれないというのも、事実なのです。実際に部下ときちんとコミュニケーションを取って育てていきたいと思いながら、思い通りに上手くいっている人は、本当に少ないのです。だからこそ、私に仕事の依頼が来るのでしょうからね。

 こんな偉そうなことを書いている私自身、以前は人を育てることができず、どちらかと言えば、自分の意向を押しつけて相手を潰してしまうことが多かった人間であります。

 もちろん自分の考え方、指導方法を何とかしなければいけないと思っていたのですが、実はなかなかうまくいきませんでした。なぜなら、学びの姿勢は持っていたものの、その時は「何をどうしたらいいのか見当もつかなかった」からです。


 そうだったんですね。では、どうやって指導方法を改善したのでしょうか。


 「相手を受け入れる」「相手を認める」ということは、私が熱を込めて力説せずとも、すでにたくさんの人たちが、同じようなことを言っています。読者の皆さんも、多少なりと知っていたのではないでしょうか。

 しかし、この誰でも知っているであろうことが、どれだけ日々の生活で実践できているのでしょうか。恐らくできている人の数の方が少ないでしょう。それはなぜでしょうか。「受け入れ、認める」という方法の理解が不十分だったり、そもそも「受け入れ、認める」ということの本当の意味が分かっていなかったりするからです。少なくとも以前の私はそうでした。

 だからこそ、最初は「受け入れ、認める」という方法論が必要になるのです。私の場合、試行錯誤しながら「自分自身に向けて相手を受け入れる言葉を発する」ということを繰り返していくことで、自分なりに相手のことを受け入れるという考え方を体得できました。最初はぎこちなくとも、何百回と繰り返していく内に、徐々にぎこちなさもとれ、だんだん自然に相手のことを受け入れる気持ちが育ってくるものなのです。

 いつまでも方法論に頼りっぱなしなのは問題かもしれません。ですが、自分自身の考え方を望む方向に変えるためにも、まず取っ掛かりとして方法論を取り入れることを“受け入れて”もいいのではないでしょうか。


 まずは、ぎこちなくてもいいからやってみることが大事というわけですね。そのうち自然にできるようになる、と。

 どんなことでも最初は気恥ずかしかったり、気後れしがちです。ですが、最初の一歩を踏み出さないことには始まりません。「受け入れ、認める」――指導法やコミュニケーションでお悩みの方は一度試してみるといいでしょう。

著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップ・モチベーション創造・自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また、研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や、講師としてのマインド・人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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