テクニックを盗む時に気をつけなければいけないこと3分で読める! 隣のヤツより成果を出す勉強術(4/4 ページ)

» 2008年11月04日 15時57分 公開
[水野浩志,ITmedia]
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プロセスを無視して失敗した事例

 前述した「相手の心情変化のプロセスを無視してテクニックを駆使して失敗する」事例を、先日うちのマンションで見かけました。

 個人向けマーケティングなどを学んだ方ならご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、チラシに顔写真を掲載するというテクニックがあります。自分の顔を公開することによって、親しみやすさと安心感を感じさせる効果があるからです。

 これは確かに効果があると思います。中身がよく分からないようなセミナーなどでは、(ルックスにも寄りますが)きちんと顔を見せた方がいいと言われていますし、食品関係などでは、産地の農家の顔が写っていると、その食品に対して責任を持って作っているんだな、という安心感も感じます。

 ということで、Webサイトや折り込みチラシなどでこういった手法を使っている人はたくさんいます。しかし、先日私が目撃した大失敗の事例は、ちょっと違っていました。

 数カ月前のある日。会社帰りに、マンションの集合ポストで郵便物を取り出そうとしました。するとカラーのA4用紙に、男性の笑顔の写真が左上に載っていたチラシが入っていたんです。それは、ある不動産業者のポスティングチラシでした。写真の横に

 「本日より、この地区を担当することになりました○○です!」

 といった挨拶文と、物件を売ってくださいというお願いの文言がずらっと並んでいました。私はこれを見て、瞬間的にイラッとしたんですよね。「なんで勝手にチラシを入れるんだ。しかも、顔写真で『よろしく!』って、馴れ馴れしい〜!」。顔写真がある分、ただのポスティングチラシよりも不愉快だったんですね。まるで“2次元の不法侵入者”みたいで腹が立ってしまいました。

 で、その場で捨てようとしたんです。実は、そう思った人が私以外にもたくさんいたようで、ポストの前には散乱したチラシの山。住人みんなに踏まれまくったせいか、その顔写真にはたくさんの足跡が付いていて、せっかくの笑顔もとても痛々しかったのでした。

 こうしたケースは、まさにプロセスを理解せずに、テクニックだけを使ってしまって失敗した典型例ですよね。ただでさえうれしくないポスティングチラシなのに、そこに顔写真を載せてしまったら、受け手の感情を逆撫でするに決まっています。なのに「顔写真を使うと安心と信頼を与えられるぞ」と、断片的なテクニックを鵜呑みにしてしまう。これによって引き起こされる結果は、期待していたことと全く逆であることも、決して珍しいことではないのです。


 人からテクニックを盗むときには、そのテクニックをなぜ使ったのか、それをプロセスに沿って理解すること。決して、断片的に学んだテクニックを勘違いして、この不動産業者のような失敗をしないでくださいね。

著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップ・モチベーション創造・自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また、研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や、講師としてのマインド・人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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