迷いの一因となっているのが、参加費用の自己負担だ。好景気の頃は「全額会社負担」が一般的だったが、この頃は忘年会や新年会などでも、参加者が費用を「一部自己負担」することが増えている。
自己負担がある以上、「参加を強制できない」という現実につながる。加えてバブル崩壊以降、10年以上もの間続いてきた「プライベートの時間を大切にする」という風潮が、就業時間後や休日に行われる社内行事の場合、「参加人数が読めない」という、企業を悩ませる課題となっているようだ。
しかし、迷いを感じつつも、ほとんどの企業が「社内行事は必要」と回答している(Q3参照)。その理由は、やはりコミュニケーションの問題だ。プライベートと仕事をきっちりと分ける風潮が定着するにつれ、職場でのコミュニケーション不足が指摘されるようになってきた。「仕事だけの付き合い」では深い人間関係が築けず、その結果、仕事にも影響を及ぼしていると、多くの企業が危機感を覚えているのだ。
とはいえ、社員が「参加したい」と思う社内行事を行うには、魅力ある行事を企画することが不可欠だ。実際、さまざまな企業がユニークな社内行事を行っている(Q4参照)。
例えば、いわゆる「飲み会」の場合、「ボジョレーヌーボーの会」などテーマを設けると、ガラリと印象が変わり、興味も増す。また、「初詣で」や「豆まき」「お花見」「暑気払い」「夏祭り」など、季節感のあるイベントを企画するのも楽しそうだ。
さらに、「内定式を大運動会形式に」というように、セレモニーとレクリエーションを合体させた企業もある。また、ある精密機器メーカーでは、スキルとノウハウ、設備を生かしてロボットや万華鏡、長距離紙飛行機などを作るイベントを行っている。
さまざまな企業の事例を見てきたところで……。次回は「社内行事を成功に導く法則」を探ってみよう。
『月刊総務』2008年5月号 「イマドキ『社内行事』事情」より