このような手痛い失敗をした私は、「本なんか読んでも役に立たないじゃないか!」という怒りを持ちました。そして「本はもう読まない」と決めたのです。そして、まずは知識を振り回すのではなく、自らが実践するようにしました。うまく行かなかったときも、すぐにあきらめずに、求める結果が出るまであれこれと考えながら、試行錯誤を続けていくことにしたのです。
最初は失敗の連続。しかし、失敗をじっくり観察してみると、具体的にどこが上手くいっていなかったのか、というポイントが分かり、今度はそこに力を入れて再度チャレンジをするということを、めげずにやり続けて行きました。
すると、亀の歩みのようではありますが、徐々に成果が出始めました。そして、成果が出始めると、やる気も出てきて、さらに新たな課題にチャレンジして、試行錯誤をし、そしてまた成果を出す、というサイクルを実践して行けるようになったのです。
そんなことをしばらく続けていたある日、久しぶりに今まで読んだことのある本を取り出して、パラパラとページをめくってみました。すると、これまでのような上辺だけの知識を吸収する読み方と違う感覚が芽生えたのです。
「あ、ここに書いてあることは、今まで自分が試行錯誤をしてきた、あのことを言っているんだな」というように、読んだことが自分の体験とがっちり結びついたような、手応えのある読書感に変わったのです。
また、試行錯誤の中で無意識にやってきた自分の行為が、本の中できちんと説明されていたりすると「ああ、あのとき試した行為の結果には、こういった理由や原因があったんだな」と納得できるようになりました。このように、自分の体験を通じて、染み込むように本の内容が入ってくるのです。
しかし、それとは別に、自分が考えていなかったことや体験にリンクしないような新しい情報や考え方にぶつかることもありました。この時は、上辺だけの理解にとどまり、先ほどのような腹にストンと落ちるような、心から納得するような感覚が得られないのです。
その時、自分の中で「腹にストンと落ちないが、絶対に身につけたい」と感じたものは、実践の場を設けて、求める成果が出るまで試行錯誤をするようにしていきました。するとその経験を通じて、本に書かれていたことが「理解できた」というよりも「腹の底から納得できた」という感覚で入ってくるようになったのです。
こうして、意識した体験を積み重ねることを続けていった結果、読書をすることによって具体的な成果が出せる一方で、今までの表層的な読書とは深さがまるで違う、深い理解と納得を得られる読書ができるようになったのです。
書籍にはその著者のメッセージが込められています。読み手の私たちは読書を通じて著者からのメッセージを受け取るわけです。せっかくの機会ですから、上辺だけの知識で満足せず、ぜひその学びを実践し、成果を生み出してみましょう。きっと著者からのメッセージを深く理解できるはずです――。
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