うまく動画が作れないんでCGMサイトに投稿するのもはばかられる……。もう一歩、うまい動画を作るにはどうしたらいんだろう? そんなときに参考になる10のポイント。
メディアの記事でもブログでも、文章や写真だけでなく動画を使ったものがとても増えてきた。でも、「うまい文章の書き方」や「上手な写真の撮り方」はたくさんの教科書があるが、意外に「ウケる動画の撮り方」は紹介されていないもの。
そこで「イカ漁師になった女の子」のPR動画募集――などの動画投稿企画などで有名なzoomeの最高メディア責任者の阿部聡也氏に、ウケるネット動画の作り方について聞いてみた。
「あくまで、ユーザーの優秀投稿を見て気づいた(学んだ)ことですが……」と話す阿部さん。zoomeは動画クリエイターが集う、ユーザー投稿型の動画CGMサイト。そんな阿部さんが、良いCGM動画のポイントとしてまず挙げたのが尺の長さだ。
まずは下記のサンプル動画を。
「ネットで見るのとテレビで見るのでは、スタンスが違うんです。ネットは能動的に集中してみるので、3分くらいでも長い。60秒前後にするようにしましょう」
ではどうやって60秒に抑えるの? ということだが、「カメラに付いている編集機能でいいんです。Windows Movie Makerでも基本的に十分ですよ」と阿部さん。
次のサンプルは短くメッセージをまとめたサンプルだ。
そして動画の頭には簡単にテロップで要点を入れるといい。まずは下記のサンプルを。
「撮ったものをそのまま垂れ流すと、昔のホームビデオになってしまいます。うまくシーンごとにカットして、コンパクトにまとめるといいです」
例えば、イベント会場の動画であれば、まず入り口で全景を撮影し、ブースからブースへの移動シーンは「移動し始めた動きの最初だけを撮る」(阿部氏)なんて工夫をすると、それっぽくなるそうだ。
「人はしゃべるときに間延びするんです。そこで『えー』とか『うー』とか言っているものをカットする。これはビデオブロガーのジェットダイスケさんが始めたので、“ジェットカット”なんて呼ばれていますが。間が空いたらカットするのは、HDDレコーダーのCMカットの要領ですね」
こちらのサンプルは、ジェットダイスケさん自身の講演から。
「アフレコなどをしてナレーションに凝る必要はないですね。業務用マイクに比べて、どうしてもPC用はクオリティーが悪いのでノイズが乗ってしまったりします。生の音のママでいいと思います。zoomeを使うのなら、動画編集ソフトを使わずにFlash上でテロップが入れられますので、試してみてください」
「BGMはあったほうがそれっぽくなります。私は(ニンテンドーDS用のシンセサイザー)『DS-10』とかで作ったものを付けることもありますよ。BGMはドラムだけでもなんとかなりますし、特に人がしゃべっているときはドラムだけのほうがいいです。作曲しなくても、オープンソース的な曲を探して使うといいですね」
例えば動画CGMサイトPeeVeeでは、自分の動画に音楽が簡単に付けられるように、7000曲から選べて利用できる「PeeVeeMusic」というサービスを提供している。
「動画をワンランクアップさせたいなら照明ですね。特に女の子を撮るときは重要です。会議室などでは、上から光が当たるので目の下にくまが出てしまう。蛍光灯でもいいので、左右から当ててあげるといいですよ」
動画を撮影するときに気をつけたいのが、パンとズーム。パンというのは水平にカメラを回転させることだ。映画やアニメではよく見る手法だが、ネットの動画では基本的に使わない方がいいという。
「ネットで使われる動画圧縮方式の課題なのですが、パンするとブロックノイズが乗りやすいんです」
最新の動画圧縮技術は、前のシーンと違っている部分だけをデータとして持つことで圧縮をかけるので、全体が変化するようなパンは圧縮が効きにくい。
「ズームは、一般的には素人は使わないほうがいいと言われている。アップから引いていって、『こんにちは!』などとやる撮り方をテレビなどで見ますが、これはプロがプロ機材を使ってやるテクニックなので、中途半端にやると失敗するんです」
最後に阿部氏からのメッセージ。「ネットの動画は、テレビを参考にする必要は全然ないんです。動画っぽくしなくてはならないとか、番組っぽくしようということはしてはいけない。テレビとは違った方程式で作ってください」
ラジオ的な動画の作りでもいいし、字だけという実験的な動画もアリ。「ブログの文章をそのまま文字で流してもいい」(阿部氏)
10のポイントを押さえて、ぜひ気軽に動画を撮影してみてほしい。
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