「いい」「面白い」なら積極導入――ジェイ エイ シー ジャパン「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(2/2 ページ)

» 2008年11月20日 09時00分 公開
[SOS総務]
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子育て費用月5万円まで支給――過半数を占める女性従業員を支援

 ジェイ エイ シー ジャパンでは2007年4月から「育児手当金支給制度」を開始した。2007年現在、同社は女性が正社員の50%以上を占める。管理職も24%女性で、2003年度の女性雇用管理基本調査による全国平均の5.8%を大幅に上回っている。こうした背景もあり、以前から仕事と出産/育児を両立できる職場環境を目指していたのだ。

 制度の設立にあたり、2006年春に全女性従業員に仕事と育児に関するアンケート調査を実施。その結果、「子供がほしい」「子供ができても仕事を続けたい」といった回答は90%近くに上った。具体的な支援方法としては、託児施設の設置や育児関連の費用の補てんの希望が大半だった。

 こういった現場の声を聞いた上で、子育ての支援制度の内容を検討した。「決定するにあたり、さらに従業員から要望を聞きながら、さまざまな角度から考えました。その結果、補助金制度を選択しました」 と石井さん。これは、住んでいる場所により不公平や不便が生じないための配慮も込められている。その内容は、夫婦ともに仕事を持つ家庭を対象に、子供が幼稚園に入る3歳までの間、託児所や保育所などにかかる費用を負担するというものだ。

 子育てのために使ったことを領収書の提出で証明すれば、子供1人当たり月額上限5万円を補助するシステムで、条件を満たせば男性従業員にも適用する。育児手当金支給制度は、従業員が参加して作った制度だけに実用性が高く、今後も多数の利用者を見込んでいる。

 こうした取り組みの結果、キャリアのある優秀な従業員に、長く仕事をしてもらえるとともに、男女を問わず、将来、子供を持ちたいと考えている若い層への大きな安心材料にもなる。従業員定着率アップや、採用面でもいい影響を与えるのは必至だ。

そのほかの育児支援プラン例

育児短縮時間勤務

子供が小学校入学の始期に達するまでの間、個別相談により、勤務時間を1日最低1時間以上短縮できる

積立有給休暇

翌年繰越有給休暇日数のうち、翌年度も使用できなかった日数を毎年加算し、最大40日まで累積可能。子供の看護が必要なときなどに取得できる

社外カウンセリング

日本産業カウンセラー協会による対面カウンセリング。仕事や家庭の相談を受け付けるもので、費用は会社が負担

産休/育休前後のキャリア相談

産休や育休の取得前に、各制度の利用相談や復帰後のキャリアについて個別に相談


※ ほかにフレックスタイム制度を利用した短時間勤務も可能

 また、上記の「そのほかの育児支援プラン例」にあるように、 育児短縮時間勤務、産休/育休前後のキャリア相談など、育児支援のプランを用意。出産や育児が仕事の障害にならない職場環境を整えている。

クラブに入れば1人年間1万円支給――社内交流と心身の健康をサポート

 また2007年5月には「オフィシャルクラブ活動支援制度」も新規導入した。

オフィシャルクラブ活動支援制度は、部署も役職も超えて、交流の輪が広がる貴重な機会。サッカー部には社長も参加している

 今までも社内には有志のサークルがあったが、それを改めて組織化して会社が活動支援を始めたのだ。制度導入の目的は、第一に日常の業務では接点が少ない者同士が交流する機会を増やすこと。コミュニケーションしやすい環境は、組織の活性化や団結力アップにつながる。職場が活性化すれば、業務自体にもいい影響を与えるはずだ。また、好きなことに集中する時間を持てば、リフレッシュやストレス解消になる。スポーツ関連のクラブなら運動不足対策にもなる。

 クラブ活動は承認制。支援を受けるには、部員が5人以上であること、年齢や入社年が異なる部員が複数登録されている、といった条件を設けた。そして半年に1度、活動報告のリポート提出を義務付けている。

 そして、条件をクリアしたクラブには部員1人につき年間1万円を支給。運動関連のクラブならコートなどの施設利用費に、文化系なら資料や材料費、講師への謝礼などに活用できる。

 制度の導入後、早くも、釣り、フットサル、テニスなど続々とクラブが誕生し、活動を開始している。社内専用のWebサイトや社内広報誌などで部員の募集や活動内容の紹介なども行うので、社内への浸透も早いという。また最近は、社内専用のWebサイトに取引先企業の商品やサービスのディスカウント情報を知らせるページも開設した。「大から小まで、いいことやおもしろいこと、そして役に立つことは、積極的に取り入れていきたい」と話す石井さん。今後の展開も楽しみだ。

『月刊総務』2007年7月号

「社員満足度、企業イメージアップのために 今、求められる福利厚生制度の探究 」(P18〜19)より


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