「福利厚生の無料紹介」で中小企業を元気に――ソリマチ[働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(1/2 ページ)

元気がない中小企業を元気にしたい。そんな想いから、自社商品のユーザーを対象に、中小企業向けの福利厚生サービスを無料で紹介するソリマチ。ユニークなサービスの真の狙いとは?

» 2008年11月26日 17時00分 公開
[豊島美幸,ITmedia]

 「日本が元気になるには、日本経済を支える中小企業が元気にならないと」

 反町秀樹(そりまち・ひでき)さんは強い眼差しでそう訴える。反町さんは、「会計王」などの業務用のメーカー、ソリマチの社長だ。総務省によると、日本の総事務所のほとんどは中小企業の事務所。この内、従業員数が20人以下の小規模企業こそがソリマチのユーザー層なのである。

 イマドキの福利厚生を紹介する今特集。今回紹介する福利厚生は、ユーザーである小規模企業に向け、福利厚生サービスを紹介するソリマチにスポットを当てよう。今まで紹介してきた、企業内で働く従業員が福利厚生の対象ではなく、企業の商品を購入した企業外のユーザーが対象である点が大きな特徴だ。ソリマチの真意とは?

ソリマチ商品を買えば、入会金無料で月会費10%引き

パンフレットを手に説明する反町社長。紙面でガッツポーズをとるのは、イメージキャラクターの松岡修造さん

 紹介するサービス名は「中小企業の福利厚生王」。福利厚生のアウトソーシングの最大手ベネフィット・ワンと提携し、ソリマチのソフトを購入した特典にベネフィット・ワンの福利厚生サービスを提供する。入会金は無料、月会費は10%引き。ユーザーがビジネスで「勝ち残る」ためのサービスを提供したい。そう考えたソリマチの想いを実現したものだ。

 中小企業の福利厚生王のサービスは、11月28日発売の9種の業務用ソフト「王10」シリーズのリリース時に始める。「王10」シリーズのユーザーに活用してほしいと考えている。ただし、「このサービスはあくまでソリマチのユーザーを応援するもの。ユーザーからは手数料などマージンは一切とらない」

210万人の情報交差点としてのソリマチ

 ソリマチのユーザー企業は35万社。1社あたり従業員が6人と仮定すると、ソリマチに関わるビジネスパーソンは210万人に上るという。

 サービス開始に先立ち、ソリマチでは既存の法人ユーザーにアンケートを取った。すると、ユーザーの9割が実務にインターネットを取り入れており、その内7割がネットバンキングなども行っていることが分かった。

 「予想以上にユーザーの情報活用能力が高い。この人たちがこれからの日本を作るはず」。そう確信したソリマチは、「ソリマチに関わる210万人がインターネットでつながる1つの企業と考え、当社はその情報交差点になろうと決めた」

 ネットでつながる210万人に役立つもの――行き着いたのが、ベネフィット・ワンの福利厚生サービスだった。ソリマチでは「企業の継続に、福利厚生は有効」としており、ネットからサービスを利用するベネフィット・ワンの福利厚生なら、「ネットを使いこなせるユーザーの利点も生かせる」からだ。

 両社の間に手数料のやりとりは発生していないという。ベネフィット・ワンを選んだのは、福利厚生のアウトソーシングを手がける企業の中で「もっともサービス内容が豊富だったから」。ベネフィット・ワン側も、ソリマチが窓口になれば1件1件中小企業に営業に回る手間が大幅に省ける。そして両社は合意した。

長い付き合いの第一歩は、福利厚生の啓発から

 とはいえ「中小企業に福利厚生は無縁と思っている人が多い」と、反町社長。また、ベネフィット・ワンが提供するサービス量は膨大だ。目下、ソリマチでは「提携ホテルは何万件あります」といった紹介の仕方ではなく、イメージしやすいような育児、健康、カルチャースクールなど身近な福利厚生サービスを選び、こうした福利厚生の充実が、いかに人材の採用と流出の防止に有効かを啓発しているという。

 手数料も取らずになぜそこまで骨を折るのだろう。疑問をぶつけると、「中小企業のユーザーには当社の製品を長く使っていただきたいから」。反町社長から明確な回答が返ってきた。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ