予防接種なしで済ませる、4つのインフルエンザ予防策医者要らずでできるインフルエンザ対策(2/2 ページ)

» 2008年12月05日 20時42分 公開
[豊島美幸ITmedia]
前のページへ 1|2       

予防策2 咳の射程距離は2メートル、人ごみは極力避ける

 さて、オフィスでAさんが発したウイルスに触れてしまったあなた。幸い、この直後、手洗いにうがいをしっかり行った。おかげでインフルエンザ感染は免れたようだ。そんな折、あなたは目の回る師走の忙しさから睡眠不足になり、どうも体調が優れない。「体調不良時は免疫力が落ちているため、普段より感染しやすくなります。なるべく人ごみは避けてください」(厚労省)

 クライアント先に向かうため飛び乗った電車の車内ではもちろん、途中立ち寄った繁華街や混み合う飲食店の中など、人が多く集まる場所でいつも誰かが“ゴホゴホ”している。どこに行っても、咳の飛沫を浴びる危険だらけだ。複数の人から飛沫を浴びてしまい、あっという間に感染してしまう可能性が、体調のいい時に比べて上がる。だから特に体調不良時は人ごみを避けなさい、というわけだ。

 ところで咳の飛沫は、どれくらい先まで飛ぶのだろう。また、どれくらい空気中にとどまるのだろうか――。厚労省によると、例えば結核菌は小さくて軽いから、比較的長く空気中に漂う。結核菌に比べてインフルエンザウイルスは大きく、しかもウイルスの周りには水滴が付くという。その重みで、「大体1〜2メートルしか飛べず、すぐ落下する」のだ。

 つまり咳をしている人から2メートル以上が“安全圏”。とはいえ体調を崩している時は、そもそも人ごみに近づかないようにし、なるべくリスクを避けておくに越したことはない。とはいえ通勤など、ビジネス上人ごみを避けることはできない場合は、せめてマスクで防ぐことだ。

予防策3 インフルエンザは乾燥好き!? 「暖房は加湿とセット」を習慣に

 仕事が終わった。なるべく人ごみを避けて深夜0時に帰宅。一人暮らしのあなたはまず居間の暖房をオンにして部屋を暖める。次にうがい薬を使って丹念にうがいをし、ハンドソープをあわ立ててよく手を洗った。そしてあなたは、暖房のおかげで部屋は温まったものの、暖房を付けたことで空気がより乾燥した居間でくつろぎ始める。こうした帰宅後の行動は、インフルエンザ対策としては完璧に見えるが――。

 「ウイルスは湿度が50〜60%程度に上がると感染しにくくなる」(グラクソ・スミスクライン)。湿度を上げたからといってウイルス自体が死滅するわけではないという。「湿度が50〜60%程度になると、ウイルスの不活化率が高まると考えられている」(厚労省)

 空気が乾燥するほどインフルエンザが流行することだけは確かなようだ。あなたは暖房のスイッチをオンする時、加湿器もセットでオンにし、この“セット付け”を習慣化すればいいのだ。もしオフィスでも加湿器を置いても構わない環境なら、置いた方が乾燥は防げるだろう。

予防策4 「バランスよく」が合言葉、食事と睡眠

 深夜0時30分。帰宅しても体調の優れないあなたは、最寄り駅を降りた後にコンビ二で買った“昼食”を居間で摂る。業務中は忙しく、昼食を摂る時間がなかったのだ。かといって疲労困憊(こんぱい)していて食欲があまりわかない。あなたは肉まん2つで簡単に済ませた。

 しばしくつろいだ後は、明朝9時からの企画会議用の資料を作り始めた。ようやく睡魔に襲われ時計を見ると、すでに3時。7時には起床するため、睡眠は4時間しか取れない。泥のように眠りに付くあなたであった――。

 こんなあなたの生活ぶりは、インフルエンザ対策としてはもちろん、健康管理としてNGなのは言うまでもないだろう。「栄養を摂って十分眠り、免疫力を低下させないことが一番大事」と、厚労省とグラクソ・スミスクラインとも異口同音に口をそろえる。然りである。

 睡眠時間の確保は時間管理を各自でするしかないとして、食べ物で何かオススメはないだろうか。「抵抗力を上げるにはお茶などビタミンCを多く含んだものがいいですね」(グラクソ・スミスクライン)。「特にこれ、ではなく、ありきたりですがバランスよく食べることです」(厚労省)


 うがいと手洗い、人ごみを避ける、暖房は加湿と一緒にする、バランスのとれた食事と睡眠。

 これらを心がけても、万が一インフルエンザを発症してしまったら、まず医者にかかろう。どうしても病院に行く体力がなく、近くの薬局にならすぐ行ける場合は、応急処置として、「メーカーとしてはおススメしていない」(グラクソ・スミスクライン)が、「市販の総合風邪薬を買っても大丈夫」(厚労省)だという。市販の風邪薬には、処方箋(せん)の必要な、合併症の危険性のある成分が入っている可能性がないからだ。だが「念のため、購入時には薬剤師に相談した方がいい」(厚労省)

 次回から番外編として、新型インフルエンザの大流行とその対策について見ていこう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ