「思い出す」――「たぐる」小技その2先読み『アイデアパーソン入門』

「たぐる」の小技である「思い出す」。要は自らが蓄積していた「database」の活用です。「そういえば……」という言葉で始まること、ありませんか。

» 2009年01月01日 08時30分 公開
[加藤昌治,ITmedia]

 つづいての「たぐる」小技その2は、「思い出す」。

【思い出す】

 ニュースなどを偶然見聞きすることによって、過去に接触や体験があり、記憶していたもののすっかり忘れていた事柄が、記憶の表層へ再登場すること。またそのキッカケに直接関係あるかどうかを問わず、さまざまな記憶が裏に去来すること。自らが蓄積していた「database」の活用。「そういえば……」という言葉で始まることがある。


 あなたの脳は超高速回転するHDD。小さなキッカケさえあれば、時間も空間も一瞬のうちに飛び超えて記憶が甦ってきます。物事を次から次へと引き出す=思い出すことは、まさに「たぐる」です。

 既存の要素マップをもう一度見てください(右図)。知っているけど書けなかったもろもろのことを引き出すのも「思い出す」の重要な役割ですが、これ全然関係ないところにポイッと何かが投げ込まれると、その場所(話題)を起点にして、パーッと思い出が溢れてくることがあります。

 誰かとおしゃべりすることは、お手軽な「思い出す」のキッカケになります。話し相手が「昔××ってドラマがあったよね?」、そんな調子で、こちらがまったく想定していない話題を急に振り出してくれたりするからです。

 しかもうれしいことに、そういう流れは一度始まるとなかなか止まってくれない! 次から次へと、話している自分ですら2分前まで記憶ゼロだったようなことまでが、これまた微に入り細に入り思い出されて……、ありませんか、そういう体験。

 先日、ホテル事業を開始される方を交えた会食があったんです。ホテルの話をしていたはずが、気がついたら凸凹の話、匂いの話、国境の話、面接の話……とまあ、どこまで行くやら、でした。楽しいですよ、そういうの。

編集部から

 今回の先読み『アイデアパーソン入門』、いかがだったでしょうか? 「あれなんだっけ? 思い出せない〜」ということ、ありますよね。そのとき、1人で悩むといつまでも思い出せません。最強のツールは同僚だったり、友人だったり、一緒に話をしてくれる人だったりします。コミュニケーションがアイデアにつながると思えば、仕事中のおしゃべりも重要かもしれません。アイデアに詰まったら、周囲にうるさがられない程度に話してみてはいかがでしょうか?

 次回の先読み『アイデアパーソン入門』は「『押さえる』――『たぐる』小技その3」です。お楽しみに――。


著者紹介:加藤昌治(かとう・まさはる)

 大手広告会社勤務。1994年、大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(阪急コミュニケーションズ刊、2003年)、『アイデア会議』(大和書房刊、2006年刊)がある。


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