「忙しい、疲れた」厳禁、「大丈夫、楽勝」を口癖に「心のスイッチ」で心の状態を変える(1/2 ページ)

ちょっとした口癖でも自己暗示にかかるって知ってましたか? 同じ状況なら「忙しい」「疲れた」より「大丈夫」「楽勝」と言った方が、心の状態がよくなっていい結果が出るんです。自分では気づきにくい口癖。気づくことから始めてみましょう。

» 2009年02月03日 12時17分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]

 前々回は「なぜ?」をやめて「どうすればできる?」と問いかけること、前回は「どうすればできる?」の前に、まず「どうなりたい?」と問いかけることなど、言葉そのものが持つ力で心の状態を変える方法を解説してきました。

 言葉の力で心のスイッチを切り替える方法はまだあります。続きを見ていきましょう。

「大丈夫」「楽勝」――口癖で心の状態を変える

 「忙しい」とか「きつい」「大変だ」などの言葉を頻繁に口にすると、どんどん自己暗示されていきます。そうではなくて、「余裕、余裕」とか「楽勝、楽勝」とか「行ける、行ける」「大丈夫、大丈夫」という言葉を言ってください。状況が一緒なら、できるだけいい心の状態で対応する方が、いい結果が出ます。「忙しい、忙しい」と言いながらやると、しっちゃかめっちゃかになりますし、「大変、大変」といいながらやると、どんどん自分で大変にしてしまいます。「余裕、余裕」と言いながらやる方がいい。

 大事なのは、口癖を変えるよりも口癖に気づくことです。自分がどんな口癖を言っているか、気づくのに一番いい方法は、同僚や家族など、身近な人に聞くことです。どういう口癖を言っているか聞いてみてください。「疲れた、疲れた」と言っているかもしれませんよ。

 口癖に気づくと、「そうか、こんな口癖を言っているんだ。だから心に影響を及ぼしたんだ」ということが分かります。そして、一度気がつくと、今度は口から出た時に自分で気づくようになります。そうすると、その口癖は減ってきます。

 今までは、それが石ころだと気づかずパンだと思ってかじっていたんですね。それを「石ころだよ」と言われた瞬間に気がついて、また手を出そうとすると「あ、石ころだ」と気づくわけです。人間は矛盾していられない人間です。矛盾してしまうのは気づいていないからです。気づいた瞬間、矛盾していられなくなります。「確かに、しんどい、しんどいと言っていたら、余計しんどくなるなあ」と気づいた瞬間、しんどいと言いづらくなるのです。

 できれば、「大丈夫、大丈夫」「行ける、行ける」「楽勝」といった、自分の心の状態がよくなる口癖に変えていきましょう。

「おもしろい」「つまらない」――同じ体験でも意識差から逆の印象に


 心の状態を変えるものの3つ目が意識です。何に意識を向けるか、今まで見てきた「声を出す」「笑う」などの体を使ったもの、「問いかけを変える」などの言葉を使ったものと同じように、どのように意識を向けるかによっても心の状態が変わります。

 例えば、プラダのバッグが欲しいと思ったら、急に街にプラダのバッグを持った人が増えたように見えるでしょう。また、欲しい車があったら、急にそれと同じ車ばかり目に付きます。

 でも、それらが急に増えたのではありません。以前から持っている人はいるし、車も走っています。でも人間は、そこに意識を向けた瞬間、それに関する情報がどんどん入ってくるものなのです。プリンタを買おうと思ったら、色々なプリンタの情報が入ってきます。時計を買おうと思ったら時計の情報が、カニを買おうと思ったらカニの情報が入ってきます。しかし、そう思わない人はあっても気がつきません。

 何が意識に入ってくるかは、人によっても違います。

 3人の女性が歩いているとしましょう。その時、犬と子供を連れたロマンスグレーの紳士とすれ違いました。3人の女性は通り過ぎたあと、「うわ〜、素敵。見た? すごい素敵だったわね」と言い合いました。

 1人は「今のロマンスグレーの紳士、とても素敵だったわよね」と言います。すると2人目は「何を言っているの? あの男の子がすごいかわいらしかったのよ」。3人目は「2人とも何を言っているの? かわいかったのは、あの犬よ」と。3人はすれ違う時に同じ情報を見ているはずなのに、その時自分がどこに意識を向けるかで、入ってくる情報がみんな違うんですね。

 こんな例もあります。

 パーティの参加者に、「パーティはどうだった?」と聞いて回りました。ある人は「激しいパーティだったよ。ダンスしたり喧嘩したり。すごく激しかった」と答えました。同じパーティに出席した2人目に聞くと、「退屈なパーティだったよ。みんな欠伸(あくび)して、寝たりダラッとしたりしてたよ」と答えました。3人目に聞くと、「いやあ、熱烈なカップルばかりだったよ。抱き合ったりキスしたり、ラブラブな人がとても多いパーティだった」という。

 では、どれが本当でしょうか。実は、全部本当なのです。どこに意識を向けているか、人によって違うだけなのです。

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