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» 2009年02月03日 12時17分 公開

「心のスイッチ」で心の状態を変える:「忙しい、疲れた」厳禁、「大丈夫、楽勝」を口癖に (2/2)

[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
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過去の失敗? 楽しい未来? 意識をいい方向に向けることが大事

 どこに意識を向けるかによって、心の状態が変わります。

 例えば、過去の失敗したことばかり、ずっと思い出してみてください。そうすると、だんだん気がめいってきます。あるいは、現在、自分ができていないダメな部分ばかり探してみてください。遅刻するし、リポートは酷評されるし、上司にはいつも怒られていて、Aさんにはいつもダメ出しされて……とやると、どんどん落ち込みます。

 もしくは暗い未来を想像します。このままじゃ自分はうだつが上がらないとか、リストラされるんじゃないかとか、女房に愛想を尽かされるんじゃないか、といった未来を思えば、意識を向ければ向けるほど、気持ちは落ち込むのです。

 ここで本当に落ち込んでしまうとマズイので、大きく伸びをしてください。では今度は、過去の自分で上手くいった時を思い出してみましょう。

 難しいなら、困難を乗り越えた時、大変だったけれど、がんばれた時のことを思い出してください。自分もそう悪くないじゃないかと思ったこと、もしくは、最近出来ていることを思い出します。

 そういえば、先週、あの報告書で褒められた、Bさんはキミがいるから買っているんだよと言ってくれた、娘がパパ大好きと言ってくれる、などです。もしくは、喜ばしい未来、楽しい未来を想像します。色々大変なことはあるにしても、なんとか不況を乗り越えた、あんな家が欲しい、引っ越したら土いじりをしたいな、来年こそはハワイに行きたいなど、楽しい未来に意識を向ければ向けるほど、心の状態はよくなります。

 大事なのは、本当に希望が叶えられるかではなく、そこに意識を向けると心の状態がよくなって、結果的に行動や結果もよくなることです

「眠れない」と思うから眠れない――不眠症の人が不眠になるワケ

 多くの人が、人生における悪いことばかりに意識を向けがちです。

 「仕事がマズイなあ、上司もダメだし、部下はこれができないし、女房は文句ばっかり、子供は言うことを聞かずにゲームばかりして、私の将来はどんなひどいことになるのか」と、意識を向ければ向けるほど、間違いなく、確実に心の状態は悪くなります。でも、誰がそう意識を向けているかといったら、自分なんですね。

 「じゃあ、悪い方に意識を向けなければいいんだ」となります。でも、そう思っても、意識が向かないようにすることはなかなかできません。

 これから言う光景を思い浮かべてください。

 冬の寒い時期、自然の多い地方の深い山の岩場に温泉があります。そこには露天の温泉があって、湯気の立つ中、野生のサルが毛をふわーっと立てて、顔を真っ赤にしながら、気持ちよさそうに温泉に入っています。ですが、その温泉に入っているサルのことだけは、考えないようにしてください。顔が赤くなって、気持ちよさそうにゆったりと露天に浸かっているサルだけは、考えないようにしてくださいね。

 サルのことを考えないようにできましたか? 実は考えないようにすればするほど、考えてしまうものなのです

 女房のだらしないところだけは考えないようにしようと、すればするほど見えてくる。夫のチャラチャラしたところだけは見ないようにしようと、すればするほど見ちゃうんです。典型的なのが不眠症の人です。不眠症の人ほど眠れないことに意識を向けている人はいないでしょう。不思議なことに、「寝れなくてもいいや。本でも読もうかな」と思った瞬間、眠くなります。でも、不眠症の人は「眠れない、眠れない」ということに強く意識が向いているから、眠れないのです

別のことを考える――「考えまいとするほど考えてしまう」からの脱却

 では、どうすればいいでしょうか。

 まったく違うことを考えるようにします。温泉のサルを考えないようにするのではなくて、ハワイの海に浮かんだ浮き輪でも、南極のペンギンでも、流れ星が流れている空でも何でもいいので、まったく違うことを考えると、そのことを考えないようになります

 「この部下は、なんで仕事が遅いんだろう」ということに意識を向けないようにするには、「仕事が遅いことに意識を向けないようにしよう」と思う代わりに、「きちんと報告書が書ける」「挨拶は気持ちいい」「場を盛り上げる」といったように、ほかのところに意識を向けます。

 とはいうものの、「やっぱり仕事が遅い」というところに戻ってしまうのだったら、本当にまったく別のことを考えます。「やっぱり仕事が遅いな」と思った瞬間に、「今日のランチは何を食べようかな」「今日の飲み会はどうしようかな」「子供の誕生日は何を買えばいいかな」と考える。

 そうすると、仕事が遅いということに意識が向きません。こうやってワンクッション置いて余裕ができたら、「仕事は遅いけれど、できているところはどこだろう」と考えやすくなります。


 次回は最終回。意識の向け方の続きを解説していきます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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