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» 2007年10月22日 17時02分 公開

成功するのに目標はいらない:ビジョン型と価値観型 タイプ別アクションプラン──ビジョン型・前編

自分のキャリアを望むようなものにするときに、「ビジョン型」と「価値観型」では考え方からアクションまで異なるものになります。今回は両方の具体的なアクションプランの立て方を紹介します。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 今回は、以前ご紹介した「キャリアに『目標』は必須ではない」(2006年11月の記事参照)の続編です。ビジョン型と価値観型については前回、詳しくお話ししましたので、ここでは簡単に済ませましょう。

 ビジョン型の人というのは、「将来どうなればいいか」という未来のビジョンをありありと思い描くことでモチベーションが上がり、それに向けて行動を起こすことで業績や成果が上がる人です。ビジョンや目標がないとやる気が出ません。そしてビジョンや目標が明確になればなるほど、やる気が出てきます。この人の生きがいは「近づいた感」です。目標に近づいているという感覚が大事です。今日1日、目標に近づいたと感じると、業績が上がります。

 それに対して価値観型の人は、未来の目標がありありと浮かばない。また、浮かんだとしてもやる気が出ません。そればかりか制約されたように感じたり、窮屈に感じたりしてしまいます。価値観型の人は、自分がやりがいを感じ、充実していたと感じられる過去のエピソードを思い出しながら自分にとって大切な価値観を見つけ、毎日の生活の中でそれを精一杯満たすようにした方がいいのです。その価値観を満たすことで、やる気が出て、業績にもつながります。逆に、その価値観が満たされていないと業績も上がりません。価値観型の人のキーワードは「満たされた感」です。今日1日、価値観を満たされたと感じると、やる気が出て業績も上がります。

 今回は、書籍でもお伝えしきれなかった、具体的なアクションプランについてお話しします。自分が価値観型かビジョン型かは、前回の質問項目で確認してください。

 自分がビジョン型/価値観型だというのは分かったら、「じゃあ、どうすればいいのか」が次のポイントです。ビジョン型、価値観型で具体的にお話しましょう。

 まずビジョン型から紹介します。最初にビジョンと目標の違いを説明しましょう。ビジョンは自分にとって象徴的で、比較的恒常的なものです。だから、必ずしもその通りにならなくてもいいのです。でも、そのことを思い描くだけで胸がドキドキしてワクワクしてくる。一方、目標は明確に期日があって、それが満たされないといけません。

20年後の自分のありたい姿を想像する

 では、ビジョン型のアクションプランから立てていきましょう。キーワードは「何の制約もなければ、どんな未来になればいいか」です。

 まず、なるべく長いスパンで、仕事もプライベートも分け隔てなく、未来がどうなっていればいいかを思い描きます。何の制約もなかったら、例えば20年後、どんな生活をしていたいかを、ありありと思い描いてみてください。いつ、どこにいて、誰といて、どんな風に何をして過ごしているか想像してみてください。どんな風景が見えるか、どんな風に見えるか、どんな音や声が聞こえるか、どんな風に聞こえるか、何を感じて、どう感じるか、思い描いてほしいのです。

平本 Tさんはソフトウェア開発の会社を経営されているそうですが、これから20年後、何の制約もなければ、自分がどんな風になっていたらいいと思いますか?

T そうですね……。ヨーロッパのスイスかどこかのスキー場で、妻と一緒にリゾートホテルに泊まって、粉雪が軽く降る中、スキーを滑っていたいですね。

平本 ゴージャスなリゾートホテルですか?

T いや、あまり大きすぎない、チロル風っていうんでしょうか、田舎風というか、落ち着いた雰囲気の古いホテルですね。

平本 お子さんが大きくなっているはずですが。

T そうですね。でもそこにはつれて来ていないですね。

平本 わざと今回は子供は置いてきたと。で、どんな場面が見えますか?

T 静かな森の中で、粉雪が降っていて、でも、そんなに暗くはなくて、他に人がいなくて、貸切みたいな感じです。

平本 聞こえてくる音や声は?

T 音はあまり聞こえないですね……。雪の積もる音くらいで。

平本 身体に感じる感触は?

T 寒くもなく、暑くもなく、静かで落ち着いた感じです。

平本 ヨーロッパのリゾートホテルでスキーをして過ごしている中で、特に印象的な場面は?

T 滑り終わった後、ホテルのレストランでワインを飲みながら食事をしているのが。

平本 どんなレストランですか?

T 煉瓦と木目調の暖かい雰囲気で、暖炉があって……。あまり気取っていなくて、アットホームな感じです。

平本 では、仕事の方はどうですか? 今、35歳だと20年後は55歳。定年間際ですね。リタイヤしていますか? 後輩は育っていますか? どうなっているでしょうか。

T ロサンゼルス近郊のサンディエゴあたりかな、海の見える場所に、木に囲まれた自分の家があって、そこで仕事をしています。ネットやテレビ電話を使って東京の本社とやりとりして、月の半分はそこで暮らしながら仕事をしていると思います。あと半分は本社で、たまにニューヨークとか中国とかの支社に出張している、という感じでしょうか。

平本 いいですね。

T なるべく自然の中に暮らして、まだイメージははっきりしないんですけれど、ネットを使ってエコロジーに貢献できるような仕事もできていたらいいですね。

平本 やっぱりアメリカがいいんですか?

T 日本で評価されても、それって井の中の蛙なので。アメリカで認められてこそ、世界中に認められるサービスになると思っています。なので、アメリカに行って、アメリカで勝負するというのが目標ですね。サンディエゴはロスに近いので、ハリウッド映画に関わるような仕事もできたらいいですね。例えば、ネットのラジオ局を立ち上げて、ハリウッドでできた人脈を使いながら作ったコンテンツを日本にも配信、みたいな。

平本 面白そうですね。どうでしょう、ワクワクしてきましたね。


 まずは20年後の、自分のありたい姿を想像してみました。次回は、これをブレイクダウンし、ありたい姿のためには、1年後、3年後、5年後にどうなっていればいいか、想像してみます。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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