ボーナスカットに給料カット。遂に自分もリストラか……と、誰もが不安を抱える不況時、生き残りやすいビジネスパーソンとは――?
心の状態をよくする心のスイッチを切り替え方の解説も今回で終わりです。これまで「かけ声などを出す」「とにかく笑う」など体を使ったもの、「問いかけを変える」「問いかけ方のステップ」 「ネガティブな口癖をやめる」など言葉を使ったもの、そして、「意識の向け方」など意識を使ったものを解説してきました。
続けて意識の向け方について見ていきましょう。
これは聞いた話ですが、自動車レースで最も大事なことが何か知っていますか。加速? ブレーキ? 何でしょうか――。
ほかにもコーナリング、車間距離、速度調整、環境確認、スピンの時の対応など色々ありますが、正解はスピンの時の対応だそうです。車がスリップしてハンドルが利かない時に、どうやってコントロールを取り戻すかが一番大事だといいます。
ほかのことは自分で少しずつ調整できますが、スピンしてハンドルが利かなくなったら、ぶつかって終わりになってしまうので、いかにその時、壁にぶつけずに済ませられるかが大事だということです。
スピンしてスリップしてハンドルが利かない時に、どうしたら壁にぶつからないようにできるのか。スピンして車が壁に向っていくと、壁の方に顔が向きます。実はそうすると、激突するのだそうです。
なぜなら、人間は顔を向ける方に無意識的にハンドルを切るからです。車が壁に向かっている時こそ、道の方を見なくてはダメなのです。車は壁に向かっているけれど、顔が道の方を向いた瞬間、ハンドルも切れます。
これは人生も同じです。
調子がいい時に行きたい方向に目を向けるのは楽です。仕事は順調、家庭もOK、親子関係もいいし、友達も趣味も順調。今年はこんな1年にしていきたいというように、車が順調に走っている時には、どこに向かうかは楽に決められます。難しいのはスリップして、うまくいかない時です。
不景気で、仕事が減って、給料が減るんじゃないか、リストラされるんじゃないか、ボーナスがカットされるんじゃないか、自分が切られるんじゃないか、仲間が切られるんじゃないか……そう思えば思うほど、どんどんそうなっていくのです。
「不景気だからこそ、今の状況で自分に何ができるか」「不景気だからこそ、このプロジェクトをどうやって成功に導けるか」という方に意識を向けなくてはダメです。例えば、子供が不登校になった場合。今日も学校に行かない、ご飯も食べない、ゲームばかりと、子供の悪いところばかり見ていくと、どんどん悪化します。
そういう時だからこそ、この子がどんな風になってほしいかに意識を向けます。「ちょっと学校を休んだとしても、自分で生きていけるようになってほしい」というように、行きたい方に目を向けるべきです。
ただ、その時にタイムラグが必ずあります。車を戻すために顔を道の方向に向けても、コンマ何秒かくらいは壁に向かいます。そうすると、怖くなって壁の方を見てしまって、ぶつかる。人生も同様で、結果が出るまでにタイムラグがある。その時に「絶対こっちに向く」という、ほんの少しの信頼が必要です。そこで待てることが大事なのです。
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