MovaTwitterにはいくつかの便利機能が搭載されているが、その1つが「イマココ」である。これはケータイのGPS機能を利用して、現在地を自動的にTwitterの発言に挿入するためのものだ。「いまここにいるよ!」という発言をする時、便利である。
ただ、開発は大変だった。「キャリアごとに位置情報の取り方が異なっていて苦労しました。自分自身はauを使っているのですが、NTTドコモやソフトバンクのケータイでテストできなかったのです」。自分がテストできないところはTwitter上で呼びかけ、友達に手伝ってもらった。
またGPSのテストをするときは車で出かけてテストをする必要があった。さまざまな個所で実験したかったのもあるが、自分のプライバシーを守るためでもあった。「あまり家ばかりでテストすると自宅の住所が晒されてしまいますから……。実はGPSのテストをする時は本番用のデータベースを使っていたのです……」。藤川さんは苦笑いしながらそう教えてくれた。
次に追加したのが「写ツ」という機能だ。これはケータイで撮った写真をTwitterに流すためのものだ。MovaTwitterで発行された特殊なメールアドレスにメールを添付して送るだけで、はてなフォトライフにその写真をアップし、そのURLがTwitterの発言として投稿されるという仕組みだ。「やっぱりケータイは写真との親和性が高いですよね。写真を撮って、そのままメールで送るというスムーズなインタフェースを生かしてこの機能を実装しました」
しかしこの機能を実装した後に、前回紹介したサービス「携帯百景」を知った。こちらも写真を投稿するためのサービスだが、メールの本文に書いたテキストを手書き風のフォントで写真に埋め込んでくれる点がユニークだった。「正直、そのまま真似してしまおうか、と思うぐらい良いサービスだと思いました(笑)。すぐに作者の方にメールしてMovaTwitterと連携してくれないかと打診しました」
「携帯百景」の作者、kimzoさんからはすぐに快諾のメールが届いた。今ではMovaTwitterからは「はてなフォトライフ」と「携帯百景」のどちらにでも写真をアップできるようになっている。
もう1つ、MovaTwitterの便利機能が「モバイルクリップボード」、略して「クリボー」である。これはMovaTwitter上のメモ帳だ。気に入った発言があればここにクリッピングしておけるし、アイデアを思いついた時に自由に書き込むこともできる。藤川さんはふと思いついたアイデアをよくこの「クリボー」に書き込むという。
着々と進化しつづけるMovaTwitterだが、現在のチャレンジの1つは「広告」だという。今は試験運用中で、MovaTwitterのホーム画面に無料で広告を載せることができる。「広告についてはわりと早い時期からスペースを確保しておきました。最初から広告が出るサービスとしておいたほうがいいですよね。あとから載せると文句を言われるかもしれないし(笑)」
海外では米DellがTwitterを使ってキャンペーン情報を流し、1億円近く売り上げをあげている。そうしたキャンペーンが日本でも可能になるのではないか、と藤川さんは考えている。「MovaTwitterを使うことでTwitterのフォロアーを増やせると思っています。それがDellのように成果を生めば、レベニューシェアなどさまざまな展開が考えられますよね」。実際、試験運用として何社かの広告をすでに受け持ったが、クリックレートなどの点で満足できる成果を得ているという。
普段はケータイとiPhoneの両方を持っているという藤川さん。歩いている時はケータイ、落ち着いて座れる時はiPhoneと、使い分けている。開発中だったMovaTwitterのiPhone版「iMovatwitter」もリリースした。こうしたデバイスを使いこなし、周りのユーザーの動向を日々観察することでサービス改善の糸口を見つけている。
PCはLet's note R6とMacBook Proを両方使っている。お気に入りのツールはLet's note R6の「TOMBO」。暗号化機能を持ったメモ管理ツールだ。ファイル単位、セッション単位でロックをかけられる点が気に入っている。「このデータはさらにDropboxで共有しています。こうしておけば安心してどこからでもファイルにアクセスできますから」
ご自身の性格を「縁の下の力持ち」と分析する藤川さん。自分が表立って何かを作るのは、実は不得意だという。「地味な人生というか……。でも多くの人に役立っているという実感を持つことがすごくうれしいのです」。Twitterツールの定番であるMovaTwitterの作者は、そう控えめに“つぶやいた”。
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