今まで私が聞いたスピーチの中で、一番心に残っているものはとんでもないスピーチです。学生時代の先輩の結婚式で起きた、その先輩がお世話になっている仕事上の先輩が起こしたスピーチがそれでした。
マイクの前に立ったその人はあろう事か、つい先日起きたという知り合いの離婚話をし始めたのです。忌み言葉どころか、モロNGワードではないか! とみんなが思い、聞いていた私も緊張しました。
しかしこのスピーチ、最終的には拍手喝采。親族も、参加者の皆さんも「いい話聞かせてもらった」という和やかな雰囲気のまま終わりました。確かに、その方はお話もとても上手でしたが、話し上手というだけで、これだけのタブーが許されるはずもありません。それが、なぜ許されたのか。それはこの人が、スピーチの始めに離婚の話を持ち出した直後、
とあらかじめ断りを入れたことが、とても大きかったのです。今でも覚えていますが、離婚話をし始めたとたんの場の空気の固まり具合と、この一言があった後の場の和らいだ空気のギャップの大きさに、驚いたものです。
つまり、忌み言葉に振り回されず、自分らしいスピーチをするためには、
ということが、効果的なんです。もちろん、上に出てきた人のように、話のテーマそのもののリスクが高いものを選ぶことは避けた方がいいでしょう。しかし、些細(ささい)な忌み言葉に気持ちを取られ、気持ちのこもらない、杓子定規なスピーチしかできないというのも寂しいものです。それならば最初に不慣れを断っておいた上で、
を作ってしまいましょう。
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