いつもの人とケンカをしないためのトーク術人を動かす話し方講座(2/3 ページ)

» 2009年05月25日 19時30分 公開
[水野浩志,Business Media 誠]

テクニック:パターンを壊すトークを決めよ

 ケンカをしないためにまず私がやったことは、かみさんとのケンカを振り返り、どのようなプロセスでケンカになっているかを知ることでした。

 すると先ほど書いたように、たいていの場合、かみさんが言ったこと、やったことに対して、私が「それは違うよ!」と言ったところからケンカが始まっていたんですね。これが、我が家で起きるケンカの典型的なパターンだったわけです。

 という事は、ケンカをしないためにはこのパターンを崩せば良いのではないか。そう考えた私は、「それは違うよ!」という言葉を使わないようにしようと決めたのです。

 そうしたらケンカはなくなったか。いやいや、そんな事はありませんでした。なぜなら、「それは違うよ!」という言葉を使わないように努力をしたつもりでも、やっぱりこらえきれずに言ってしまうんですよね。「それは違うよ!」とは言わないにしても、「そうじゃないだろ」など、似たような否定言葉をついつい使ってしまうのです。

 だから次に私は、「それは違うよ!」という言葉を使わないと決める代わりに、「そういう考えもあるよね」という言葉を使おうと考えました。

 人間というのは面白いもので、「○○をしないようにしよう」と心がけても、その気持ちを留めることはとても難しいんです。なぜなら「何かをしないようにしよう」と思うことはつまり「何かをやりたがっている」という状態であって、それを押さえつけるとストレスを感じてしまうからなんですよね。

 だから何かをしないようにしたい場合は、

  • 代わりに行うことを定め、それを行うと決める

 とした方が、成果が出るんです。

 私の場合、「それは違うよ!」と言わないようにしたいんですから、その代わりになる「そういう考え方もあるよね」という言葉を、積極的に言おうと決めたわけです。

 この時、その言葉に「気持ちを込めなければ」と考えると、また難しくなってしまいます。あくまでもここでの目的は、「ケンカになってしまうトークのパターンを壊す」ということ。ですから、まずは気持ちなど込めなくてもいいから、「それは違うよ」と言いたくなったときには「そういう考え方もあるよね」と言おうと決めたのです。

 その結果、今までとは比較にならないほど、夫婦ゲンカが激減。他人との言い争いについても、同じように、自分が陥ってしまうトークのパターンを意識的に変えていくことで、結果としてずいぶんと少なくなってきたのでした。

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