私はあの数年前の出来事を、決して忘れないだろう。ニューヨーク市のある大手投資銀行で仕事をしたときのことだ。
信頼を思い通りにできる人は、必要とするあらゆる事実や数字、裏付け証拠、支持を得られるが、思い通りにできない人は何一つうまく行かないものだ。
――ナイル・フィッツジェラルド(元ユニリーバ会長)
私はあの数年前の出来事を、決して忘れないだろう。ニューヨーク市のある大手投資銀行で仕事をしたときのことだ。長い会議が終わった頃には、我々は疲れ果てていた。その会議では、社内に信頼に関する重大問題があることが明らかになった。この問題のためにいろいろな面でスピードが遅く、業務に支障をきたしていた。経営幹部がこっそり私にこうささやいた。「こんな会議、意味ないな。時間の無駄だよ。マイクは当てにならないし、エレンもそうだ。あの連中は、誰一人信頼できない」
それに対して私はこう言った。「じゃあ、信頼を高める努力をしてはどうですか?」
彼は私のほうを見て、真面目な顔でこう答えた。「スティーブン、君は分かってないね。信頼というのは持とうとして持てるものではないのだよ。この会社には信頼関係がないのさ。信頼を築くなんて無理だよ」
こうした考え方には、私は真っ向から反対である。私は実際、自分の私生活からしても、また過去20年間に及ぶビジネスマンとしての自分のキャリアからしても、信頼を高めるためにできることはたくさんあると確信している。私たちは、自分が思うよりもずっと短期間で信頼を高めることができる。それが私たちの生活の質と達成できる成果の両方に、とてつもなく大きな影響をもたらすのだ。
(『スピード・オブ・トラスト』3〜4ページより抜粋)
開催概要 | |
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日程 | 1.11月5日(木)〜11月6日(金) 2.2010年2月18日(木)〜2月19日(金) |
時間 | 9時〜17時(2日間とも) |
料金 | 10万1850円 |
会場 | フランクリン・コヴィー・ジャパン セミナールーム(東京都千代田区麹町) |
「どんな状況であれ、信頼ほど即効性が期待できるものはないと断言できる。そして、世間の思い込みに反し、信頼は自分でなんとかできるものなのだ」――。
『7つの習慣』で著名なコヴィー博士の息子、スティーブン・M・R・コヴィーが、ビジネスにおける“信頼の力”を体系化したのが本書『スピード・オブ・トラスト』。
企業の不祥事や社内の権力争い、人間関係の崩壊などが問題視される昨今、新しいリーダーに求められる能力とは何なのか。私たちが行うあらゆる活動の質に働きかける信頼の力を、本書中の“名言”を抜粋しながら解説します。
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