個条書きメモの習慣を変え、あなたの仕事力をパワフルにするための新しい習慣、それが「図解でメモをとる習慣」です。「なんだ、図解か」と思う方も多いでしょう。
確かに、世の中には多くの図解、チャート、ビジネスの「見える化」に関する参考図書が出版されており、図解のスキルについては勉強する機会も多いと思います。
PowerPointのプレゼン資料に見栄えのよいチャートやビジネスフレームワークを配している人も少なくないかも知れません。しかし、メモをとるときにこそ図解が必要なのです。個条書きでメモをとり、後からそれを思い起こしながら、ビジネスモデルや関係図を図式化するのではなく、自分の理解したことをそのまま絵にすることが大事です。
理解した構造、関係性をそのまま絵にできなければ、後からもう一度、理解するプロセスが必要になります。それは記憶が薄れていくのと連動して、時間が経過すればするほど効率が悪くなり、仕事の生産性を大きく下げます。
わたし自身、ミーティングやブレイン・ストーミングを行なった当日に、お互いの認識を共有化するために、1枚ペラの図を相手にメールすることがしばしばあります。そうすることにより、文字ベースによる意識の齟齬(そご)がなくなり、仕事がとても円滑に進むのです。
ここでご紹介する図解メモはあきれるほどにシンプルなものです。基本パターンは単なる四角と矢印で、文字はなるべく使いません。シンプルなものほど、とてもパワフルで、なおかつ自分にも他人にも理解しやすく、プレゼン資料や報告書へそのまま転用できるため、優れた図解といえるのです。
図解は、物事を抽象化、パターン化することにその目的があります。パターン化されれば、まったく無関係のほかの案件にも類似性を見つけることができます。類似性が見つかれば、ほかで使った考え方、解決方法が、目の前にある問題にも適用できることが分かります。これは大きなメリットです。
図解はシンプルであるべきです。図解自体が複雑で、理解しづらいものになっていたとしたら、その方法は間違っています。「複雑なことを複雑にしか伝えられない」のは本質を理解していない証拠です。
『頭がよくなる「図解思考」の技術』では、応用編などでフレームワークを使った高度な図解を紹介していますが、ベースとなるのは、基本編で紹介する「四角形と矢印のコンビネーション」だけです。このパターンの組み合わせで、世の中のほとんどが説明できると思っています。
完成形がどんなに複雑怪奇に見えても、基本がシンプルだからこそ、誰にでも取得でき、実践でき、効果が体感できるのです。難解でやっかいな問題であっても、シンプルな図によって構造を「見える化」すれば、簡単に解決方法を思いつくことがあります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.