思考の「型」を身につける結果を出して定時に帰る時短仕事術(2/3 ページ)

» 2010年07月02日 10時46分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

チェックリストでケアレスミスよ、さらば

 海外旅行や出張が多かったわたしは、いつも旅行用のチェックリストを使って、前日に荷物の点検を行っていました。「パスポートは持ったか」「電源の変換器は持ったか」「現地の携帯電話の通話方式は何か」など30個ほどの点検項目をチェックするので、直前の準備でも慌てることなく、スムーズに出かけることができるのです。

 こうしたチェックリストは、プライベートだけでなく仕事でも威力を発揮します。特に、専門的で難しい業務や経験の浅いスタッフが作業する場合には、チェックリストを整備しておくと非常に効率的です。営業プレゼン準備のチェックリスト、契約書の内容チェックリスト、アイデアの点検チェックリストなど、何度も発生するタスクを効率的に、かつ網羅的に処理するためには、非常に有効です。

 チェックリストも、テンプレートと同様に一度作って終わりではありません。なるべく多くの人が実際に使ってみて、分かりやすいか、追加したほうがよいチェック項目はないか、不要な項目はないか、何度も改訂して、よりよいものにしていくことが重要です。

 「チェックリストを作って済むほど、単純な仕事じゃないんだ!」という人ほど、真剣に自分の仕事を分析したことのない人です。どんな仕事でも分解すれば、自ずとシンプルなユニットになるものです。

 特に、組織で同一のタスク処理を行う際にチェックリストを使えば、人によるブレが減り、チーム全体としてのクオリティが上がります。また、個人での作業であっても、チェックリストが準備されていれば、いざ、第三者に業務を引き継ぐ際もスムーズです。自分しか分からない仕事があると、いざ会社を休む際にもダンドリが大変です。日頃から業務のチェックリストを整備しておくと、生産性アップにも、リスク防止にもつながります。

個人の生産性だけでなく、チーム全体で生産性を上げる場合にもチェックリストは強力な武器になります。作業量が一時的に増えたり、作業者が不測の事態で対応できない場合に、慣れていないスタッフが安定的な品質をキープして仕事を行うために必須です

最短で本質に到達する、自分なりのオリジナルフレームワークを開発すべし

 チェックリストやテンプレートと同様に、仕事の生産性を高める思考の「型」、それがフレームワークです。フレームワークに関しては、「最強フレームワークへの道」の中で、何度となく紹介していますから、詳細は省きますが、フレームワークは、経済学者や経営コンサルティング会社が、過去のさまざまなデータや事象の分析結果から、最善と思われる分析方法や戦略手法を見える化したものです。フレームワークを活用すると、ゼロベースであれこれ頭を悩ますよりも、短い時間で、本質に到達することができます。

 フレームワークには、経営分析に役立つもの、業務カイゼンに役立つもの、マーケティングに役立つもの、アイデア発想に役立つものなどがあります。拙著『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』(ソフトバンククリエイティブ)では、書名のとおり100個のフレームワークを収録し、解説しています。しかし、すべてのフレームワークを覚える必要はまったくありません。自分の業務や得意な分野に合わせて、フレームワークを使いこなせることが大事です。

 既存のフレームワークが、そのまま業務で使えるとは限りません。ビジネスは大きく変化しており、多種多様なビジネスが生まれている現在、そのままフレームワークが適用できないケースも多いでしょう。一番よいのは、自分なりにフレームワークを開発することです。そのためにも、既存のフレームワークがどのような目的、どのような手法でビジネスの課題を解決しようとしてきたのか、そのアプローチを理解することが早道です。

目的に応じて使える主要なフレームワークだけでも頭に入れておきましょう。そして、TPOに合わせて、取り出し、完成させるのです。ゼロベースから戦略を作るよりも短時間で、本質的な課題解決が見えてくるはずです

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