名刺整理の環境が完ぺきに変わった――ピットレックの使い方【直球編】年末デスク整理術

アナログな整理法に限界を感じたわたしは、デジタル名刺ホルダー「ピットレック」を自腹で購入してみました。感想を一言で言うと、名刺整理の環境が変わったのです――。

» 2010年12月01日 12時00分 公開
[野原淳,Business Media 誠]
誠ブログ

 キングジムファイリング研究室の野原です。今回は、道具をうまく使う方法をテーマに、キングジムのデジタル名刺ホルダー「ピットレック」を紹介します。

わたしの名刺整理方法は時系列

 名刺の整理方法についてはかなり質問を受けます。ちなみにわたしはすべて時系列で名刺を保管しています。とにかく会った日を名刺に書き込み、会った順番に入れていく。名刺ホルダーにすき間なく入れることができます。

 あいうえお順ではこうはいきません。このページはア行と決めたらア行の名刺しか入れられず、カ行の名刺はア行のページを飛ばして、次のページに入れるしかないのです。これでは、500枚収納の名刺ホルダーに500人分の名刺は収納できません。

 その点、時系列は便利です。名刺をもらった人と日時はだいたい覚えているので時系列で探せます。またわたしは日々の記録をテキストでデータ化しているため、それらを全文検索すれば、その人と初めて会った日が分かり、名刺もすぐに探し出せます。

名刺ホルダーの限界

 ところが最近、名刺ホルダーによる整理法に限界を感じてきました。今は500枚収納の名刺ホルダーを使っており、最後のページが近づくと、古い(前の方)のページの名刺を処分し、後ろに持っていっています。

 ところが、名刺交換が頻繁(ひんぱん)になるにつれ、この作業が追い付かなくなってしまったのです。その結果、机の中には時系列に重なった名刺の束が2つ、3つとできていきました。

 コンサルティングでは、このような名刺の束を見つけるとすぐさま「この名刺、使ってるんですか」と突っ込んだものです。それが今、自身の机の中にあるのです。これはマズい……。

 そんなとき、ピットレックが発売されました。

 ピットレックはデジタル名刺ホルダーです。会社名、氏名のほか、登録日でも名刺データを検索できると聞き、一気に興味が増しました。登録日、つまり時系列で探せるのであれば、今までの名刺整理法を変える必要はありません。かつ、会社名や氏名で探せるとなれば、今以上に名刺を効率的に管理できると思いました。

 「この道具はわたしを助けてくれる」

 そう直感し、8月6日の発売日に購入しました。営業用サンプルではなく、本当に買ったのです。

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携帯の名刺読み取り機能は意外と不安

 最近の携帯電話には名刺読み取り機能が付いています。わたしが使っているPHS「WILLCOM 03」にも「名刺リーダー」というアプリケーションが標準搭載されています。読み取り精度は100%ではありませんが、なかなかです。これを使えばピットレックは不要のようにも感じます。

 では、わたしはこの名刺リーダー機能を使っていたのか? 答えは「一切使っていません」。なぜでしょうか。

 1つ目の理由は、仕事とプライベートを一緒にしたくないからでした。妻や地元の悪友に混ざって、仕事上の連絡先が表示されるのは嫌だったのです。実際、少しは仕事関連の連絡先も入っているのですが、「誤送信」のヒヤリハットを何度か体験しています。WILLCOM 03のソフトウェアキーボードは押しにくく、誤操作が多いのです。

 こうした状況は避けたいので、名刺リーダー機能は使っていませんでした。PHSにはプライベートの連絡先を中心に入れ、仕事関連の名刺ホルダーは、会社の引き出しに施錠して置いていました。

 2つ目の理由は「不安が多い」こと。精度が高いとはいえ、名刺リーダーが本当に名刺情報を正しく読み取っているかが不安だったのです。もし読み取った連絡先から担当者に電話をかけてもつながらない場合、「3と8を読み違えていないだろうか。そういえば東京本社と東京支店の番号が併記されていたけど、どっちを読み取ったのだろう?」と考えてしまうのです。

 名刺リーダーには、裏面の地図や会社のロゴマーク、顔写真は登録されません。名刺内の有益な情報は、かなり捨てられた状態で登録されているのです。こんな状態で外出しても、再確認のしようがありません。不安の中、今ある連絡先に連絡し続けるしかないのです。

 こうした理由から、自分のPHSにある名刺リーダーでは仕事の連絡先を管理しないようにしてきたのです。

名刺を画像で確認できる安心感

 これに対し、ピットレックは本体に内蔵したカメラで名刺を撮影し、画像で確認できます。裏面の登録も可能です。画像で参照すれば、情報を読み落とす不安は一切ありません。名刺のあらゆる情報を、画像そのものから目で判断できるのです。またピットレックは発信機能がないので、ボタンの押し間違いや情報の選び間違いによる誤送信はありません。

 すべての名刺――いままでのすべての自分の仕事の履歴――を持ち歩くことも夢ではないのです。16GバイトのマイクロSDカードを用意すれば、9999件の名刺を登録・保存することもできます。

 そして、時系列に加え、会社名、氏名、閲覧履歴順などで名刺情報を探すことができるのです。

  • 会社名は覚えているけど、名前は忘れてしまった
  • 会ったのは1カ月前の展示会、担当者の名前も会社名も忘れてしまった
  • 覚えているのは、顔写真付きで赤いロゴマークの名刺だった

 こんな時でも探せます。これは名刺ホルダーや携帯電話、PHSの名刺リーダーでは、絶対に不可能です。

ピットレックは名刺整理の環境を変えたか?

 ピットレックは名刺整理の環境を変えましたね。完ぺきに。名刺の登録自体は、これまでのアナログ名刺ホルダーよりひと手間かかります。またOCRで社名と氏名を認識した際、正しく読み取れていなければ手直しが必要です。

 ですが、仮にそうなったとしても、この作業を面倒とは思いません。ピットレックに名刺データを入れることで、さまざまな利便性を享受できることを知っているからです。つまり今、第2領域(*編注:緊急度は低いけれども重要度は高い仕事)に時間を投資すれば、後になって「書類探し」というつまらないことに時間を割かずに済むからです。

 名刺というのは書類と違って、探し方が多様です。部分的な記憶しかないことが多い上、必要な時は緊急度も高い。しかも、名刺が必要になるのは決まって外出先だったりします。

 ピットレックは、焦っているときでも画像で確認できます。この安心感は強力です。パスワード設定もできるため、持ち運び時の安心感をさらに高めてくれます。わたしのニーズに見事に応えてくれたピットレック。もう手放せません。

※本記事は、誠ブログ「ファイリングは捨てることと見つけたり」において、2010年10月17日に掲載されたエントリーを再構成しています。


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