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» 2011年01月06日 13時00分 公開

全文公開! Ustream初出演、池上彰さんの仕事術(後編)Real Time Webな働き方(3/4 ページ)

[藤村能光,Business Media 誠]

恋人の両親を思い浮かべて、話し下手を克服【1時間17分10秒前後】

質問4 本日は貴重なお話ありがとうございました。私は言葉づかいが悪いと上司から注意されるのですが、池上さんが言葉づかいを勉強する(時の)コツがあれば教えてください。

池上 アナウンサーは研修を受けるのですが、記者はそういうことがないのですよ。そういう意味では研修を受けたことがありませんし、結局は独学なのですね。記者の場合、まずはおまわりさんの相手をする、いわゆるサツ周りというところから始まります。

 島根県の警察本部から(仕事を)始めました。非常に口が重たいおまわりさんから話を引き出そうと悪戦苦闘をしながら、自分の言葉遣いを少しづつ作っていったということがあるんです。

 若い世代はとりわけ、敬語ができていないということがありますね。私のような世代はどうやって敬語を勉強したのかといいますと、中学生や高校生の時に、同級生の女の子の家に電話をしないといけない。それは単にクラスの連絡なんですけど。すると相手の父親が電話に出てきたりするわけです。

 まずは電話をして「私は何々小学校でお嬢さんと同じクラスの何々のモノでありまして」という自己紹介から始まりますね。つまり自分があやしいものではありませんといった自己紹介をした上で、「恐れ入りますが、お嬢さんいらっしゃいますでしょうか」「電話を変わっていただけますでしょうか」という敬語を使わないと相手にたどり着かない。電話機の前でまずシミュレーションをするんですよ。そこから次第に敬語を使うようになってきたんです。

 ご質問をされた方は独身でいらっしゃいますか?

質問4 独身です。

池上 例えば将来彼女ができたとしますね。そのお父さんやお母さんの前に出て話さないといけない時がきっとあるでしょうね。その時に「何だこの言葉づかいは」と言われると、会社の上司から言われるよりもずっと堪えますよね。それをあらかじめシミュレーションし、そういう年上の方にどういう言い方をすれば好意をもってもらえるかというシミュレーションを日ごろしていればいいのです。

津田 常に年上の人に好きな女の子のお父さんに話すように心掛ければいいんですね。

池上 会社の上司の人にやれば、好感度が上がったな、いいやつだなと思われますね。その上司の娘さんを押しつけられると困るんですけどね(笑)。

本を書きたい、その一心でNHKを退社――【1時間20分15秒前後】

質問5 アカウント名「ミュートボックス」といいます。池上さんが今の日本のマスメディアや報道に対して、問題点があるとすれば何ですか。NHKを辞めたことも関連があれば教えてください。

池上 まったく何の関係もございません。まずは、NHKをなぜ辞めたのかということと今の日本のメディアの話の2つに答えることを整理して、今からこの2つを言うことで皆さんに分かってもらう。心の準備をしてもらいましょう。自分で解説しても仕方ないのですが。

 なぜNHKを辞めたのか、定年を前に辞めたのですが、それは本が書きたかったから。こどもニュースをやっている最中に、ニュースの解説をする本や現代史の本を書き始めたら、そっちの方がよっぽど楽しいということに気付いた。自分は活字の人間だな、現場に行って取材をし、本を書く仕事の方がいいやと。

 こどもニュースをやっていると二足のわらじをはいていますから。本を書くのは深夜になったり、休みの日でしょ。深夜2時に書いていると、もうちょっとやると原稿が書き上がるんだけど、明日の朝の仕事があるから止めなければならない。次第にストレスになっちゃって。ある時、「やめてしまえば、心おきなく本を書けるんだ」と思ったとたんに、もう一刻も早く辞めたくて、辞めたくてということになって辞めたと。

津田 「辞めれば」という考えは、突然下りてきたんですか。お風呂に入っている時とか、街を歩いている時とか覚えてらっしゃいますか?

池上 こどもニュースの模型を含め、風呂に入ってあーといっている時に思いつくことが多いです。これを私は「アルキメデスの法則」と名付けていたのですが。ちょっと笑いがないということは、アルキメデスの原理を分かっていないということですね。親父ギャグです、単なるね。

 何の話だったかというと、本を書いていて、もうちょっとで書けるのに「止めないといけないな」と思ったときに、突然「辞めてしまえばいいんだ」と。

津田 そこが完全につながっていたわけですね。

池上 それで(NHKを)辞めたんだということです。

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