目指せ35%省エネ、今だからこそ“本気の節電術”(前編)大規模停電を回避せよ!(3/5 ページ)

» 2011年03月24日 21時20分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

夏と冬は電力のピーク

 以下、2つのグラフを見ていただきたい。どちらも筆者宅の電気代のデータで、1つ目は毎月の電気代、2つ目は毎月の電気代を12カ月積算した年間の電気代を移動平均で表したものだ。毎月の電気代は上下に振れているが、オレンジの矢印が冬のピーク、青の矢印が夏のピーク、緑の矢印が春秋のボトムの推移だ。筆者宅の電気代は冬に大きなピークを迎え、夏は小さめのピーク、どちらも年々増えていったことが分かる。春秋はボトムの時期で、ゆるやかに増加している。

 2つ目のグラフは季節ごとの変動を排除するために過去12カ月を足している。最初の2006年3月の数値は前年4月から2006年3月までの合計、翌月は前年5月から2006年4月と1カ月ごとにズラしている。前年同月より増えていればグラフは上昇し、減っていれば下降、同じなら横ばいとなる。2007年から急上昇し2009年の春にピークを迎え、夏はやや減少、節電を始めた秋から急速に減っていることが分かる。2007年から急上昇した理由は定かではないが、筆者が起業・独立し自宅で仕事をするようになったのが2006年12月なので、その影響が大きいと考えられる。どちらのグラフも下端は0円ではないので注意していただきたい。

 筆者が節電を始めたのは2009年の秋。直前の夏は特に何かしたわけではなく自然減で減っている。2010年の夏が猛暑だったことは記憶しているが、2009年の夏が涼しかったのかは記憶にない。今年は昨年より花粉が多いと言われているので、一昨年の夏は涼しかったのかもしれない。

 昨年の冬、そして猛暑だった夏は大幅に節電できたが、今シーズンの冬は残念ながら大きく“リバウンド”。全国的に節電が叫ばれているので、これ以上上昇しないようにと思っている。

 本来は電気代ではなく電力量でグラフを作った方がいいのだが、電気代は銀行の通帳(途中からはカード会社の明細)から拾えるが、電力量は毎月の明細書を見ないと分からない。作業の楽な電気代の数値を使用しているのはご容赦いただきたい。それに、正確性では電力量のグラフが勝るが、節電したという実感は電気代の方が感じられるのではないだろうか。

 当初、電気代が増えた理由として、筆者が独立しPC機器の電気代の上昇、あるいは子供達が高校、大学に進学し夜更かしするようになった照明代の上昇を疑った。だがグラフをよく見ると春秋のボトム時期はそれほど増えてはいないので、季節に関係ないPCや照明は大きな要因ではなさそうだ。疑わしきはやはり冷暖房ということがグラフから読み取れる。

 節電に向け、まずは家庭内の電気製品を1カ月の使用時間で分類してみた。

使用時間 電気製品
24時間通電しているもの ・冷蔵庫
・トイレのウォッシャー
・NAS(ネットワークHDD)
・ネットワークハブ
・ルーター
・電話
・ファクス
通電時間の長いもの ・エアコン(夏・冬)
・炊飯器(保温)
・扇風機
・ファンヒーター
・セラミックファンヒーター
・テレビ
・DVDレコーダー
・PC
・照明類
通電時間の短いもの ・電子レンジ
・ドライヤー
・音響機器
・洗濯機
・衣類乾燥機
・アイロン

 各製品の使い方は人それぞれなので、あくまで筆者宅の場合だ。例えば電子レンジは1回数分だが使用頻度は高い。音響機器(ステレオ)や乾燥機は1回の使用時間は1時間を超えるが、毎日使うわけではないので同じ分類としている。

7年ほど前から持っている「エコワット」

 節電に向けた次のアクションは各製品の電力の測定だ。7年ほど前から持っている「エコワット」を使用して大まかな電力を測定した。現在はもっと高性能な製品が低価格で売られているが、節電を始めたときは収入が激減し数千円の出費も惜しかったので新たな測定機は購入しなかった。このエコワットは低消費電力の製品について、消費電力の測定はできない。だが、だだ漏れの電気代を減らすことが目的なので、低消費電力の製品は節電の対象外だった。

 今回の記事を執筆するに当たって「ワットチェッカー」を用意した。これは瞬間の消費電力を測定できるので、より正確な測定を行うことができる。では実際に測定した結果を見ていこう。

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