目指せ35%省エネ、今だからこそ“本気の節電術”(前編)大規模停電を回避せよ!(4/5 ページ)

» 2011年03月24日 21時20分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

冷蔵庫は「温度設定を下げること」「開け閉めの回数を減らすこと」

冷蔵庫
季節 平均的電力 電気代
60W 950円
80W 1270円
150W 2380円

 24時間通電している製品で目を引くのは冷蔵庫だ。使用している冷蔵庫は1999年製なので現在の製品よりたぶん消費電力は多い。スペックを見ると152W、1カ月の消費電力が38kWhとなっている。冬場はそれほどでもないが、夏場はかなりの電力を必要とする。冬場でもっとも少なかったのは正月に3日間不在だったときの47W。誰もドアを開けないし、暖房を使わないので室温も低い。開け閉めの回数と室温は消費電力に大きく影響する。冷蔵庫の節電の基本は温度設定を下げることと開け閉めの回数を減らすことだ。

 冷蔵庫の問題は夏場だ。筆者宅の冷蔵庫は両側面から放熱する。夏場には触ると熱いと感じることもある。冷蔵庫は電力の測定も難しい。庫内の温度が上がるとコンプレッサーが駆動し庫内の温度を下げる。この時の放熱で側面が熱くなる。庫内の温度が下がるとコンプレッサーは止まるので側面の温度も下がる。ある程度長い時間を計らないと消費電力が測定できない。さらに測定データのバラツキも大きく、夏場は毎日計っても気温の影響で1割以上の差が出ることがある。

保冷カーテン

 節電対策としてまず行ったのは保冷カーテンの装着だ。透明樹脂製ののれんのようなカーテンを付けることで開け閉めの時の冷気の流出を少なくする効果がある。電気代としての検証は難しいが、庫内の温度を測るとその効果は確かにある。

 次に行ったのはレイアウトの変更。元々片側は壁で隙間が5センチくらい。反対側は食器棚で隙間が3センチくらいしかなかったため、夏場は中の食器が熱くなることもあった。隙間の温度を実測してみると38度。カウンターキッチンはレイアウト的に熱がこもりやすく室温も33度になっていた。空間を確保するため、食器棚の反対側にあった分別用のゴミ箱を冷蔵庫側に移動し上半分は大きな放熱空間を確保した。

元々は食器棚が隣接していたがゴミ箱と位置を入れ替え、空間を作った

 ここからはかなり異例な施策だが、次に行ったのは送風ファンの設置だ。特に壁側は5センチ程度の隙間なので熱がこもりやすい。下から上に風を送ることで隙間の熱を押し出す作戦だ。デスクトップPC用の大型ファンが使えれば静かでよかったが、隙間が5センチしかないのでブロアーファンを用意し、手持ちのACアダプターをつないで駆動した。ファンの駆動に必要な電力は2W×2個で月に65円ほどだ。微妙にうるさいが夏場だけなので我慢した。

元々両側の隙間用に2個用意したが、狭い隙間側に2個設置
こちら側は普段はタオル、ハサミ、鍋つかみ……が貼ってあるので小さめ

 最後は水冷だ。最初の実験はコピー用紙とティッシュペーパーを濡らして冷蔵庫側面に貼ってみた。コピー用紙は水に強く作業性はいいが保水量が少ない。ティッシュペーパーはそこそこ保水するがすぐに破れてしまう。実験の結果、どちらも短時間に乾くことは確認できた。和紙のようなものがベストと考えホームセンターを探索するが和紙は高くて断念。価格、性能のバランスを考え選んだのは障子紙だ。数百円で数十回は貼り替えができる。

 これを冷蔵庫のサイズに合わせて切り側面、上面、側面と被せるようにして磁石で固定、上面にスポンジを乗せ保水量を増やした。水は短時間でお湯になり数時間で蒸発する。欠点は自動的に適量の水を送り込む仕組みがないので、数時間ごとに水を足してやらないといけないので、労力が掛かることだ。たまに息子は手伝ってくれるが、奥さんや娘は全く興味がないので、筆者が出張すると完全に乾いた状態となる。


(左)狭い隙間側は幅も長さも大きい。青いのは洗車用のセーム革で保水力抜群。今回の撮影用に隙間を拡げている。(右)上面の青い給水シートは側面に貼ると水が抜けて役立たずなため上面で使用中。黄色いスポンジも給水、保水用。給水は注油用のスポイト(?)を使用

 24時間の計測で、元々154W、146W、137W、153Wといった電力が、102W、116W、105W、105Wくらいに下がったのでそれなりの効果は出ている。昨年はブロアーファン、障子紙、スポンジ類、磁石などの初期投資をしたので電気代が下がってもほぼとんとん。今年の課題は自動給水する方法だけなのでメリットが出ることを期待している。

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