読者の疑問に著者が答えます! 絶対できる「朝シフト仕事術」朝シフト仕事術(2/3 ページ)

» 2011年08月23日 17時20分 公開
[永井孝尚,Business Media 誠]

質問3:「朝活」ってよく言われますが、体のいい残業代圧縮なのでは?

Biz.ID 最近、コスト削減のあおりを受けて、一部でサービス残業が問題になっています。働く人の目線からいうと気になる質問ですね。

永井さん この質問は、2種類の異なる視点が考えられますので、分けて回答させていただきます。

 1つ目は「残業を朝に振り替えると、残業代がもらえなくなる。だから残業代圧縮になるのではないか」と想定しているケース。

 労働基準法第36条「時間外労働および休日労働に関する協定」では、時間外労働について特に時間帯を定めていません。残業時間をどのように定義しているかは企業によって異なりますが、多くの企業では労働基準法に準拠して就業規則を定めています。恐らく「早朝時間に時間外勤務をしてはいけない」としているケースは極めて限られているのではないでしょうか? 早朝の業務時間外に時間外勤務をしても、多くの場合、申請すれば残業代は支払われると思います。「朝シフトだと残業代がでない」と思っている人は、ご勤務先の就業規則を調べてみるのも1つの方法です。

 2つ目は「生産性があがってしまうと残業がなくなり、残業代が減るので困る」と考えているケース。

 これはご自分でどう考えるか次第ですね。どうしても残業代を稼ぎたいのであれば、あえて仕事を作り、就業時間後も残業する、というのも、それが会社が許すのであれば1つの選択肢でしょう。しかしその時間を活用して、もっと自分の人生で有意義なことのために時間を使えるようにしたい、と考えるのであれば、朝シフトは夜の残業を止める1つの方法論だと思います。

 企業は常にコスト削減に努力していますので、確かに「残業代を圧縮したい」と考えている会社も多いでしょう。しかしそのような会社の意図は置いておき、自分個人としてどうするかを考えた方が、より充実した人生を過ごすことができるのではないかと思います。

 ちなみに私は年俸制なので、残業してもしなくても、給与は変わりません。業務時間ではなく、あくまで仕事の成果で報酬をいただいています。ですからプロフェッショナルとして、常に限られた時間で、求められる品質の仕事を、できる限り大量に短時間で仕上げることを常に考えています。

 仮に年俸制度でないとしても、常に限られた時間でいい仕事を仕上げようと考えて仕事をすることで、プロフェッショナルとしてのスキルを高めることができるのではないでしょうか?

Biz.ID 当編集部も年俸制なので、いくら残業をしても残業代でウハウハにはなりませんねえ。しかし、なぜか残業してしまうのでした。質問とは異なりますが、年俸制は残業が金銭面で会社に指摘されない分、意外とダラダラすごしてしまうのかも!?

質問4:偉い人だから使える時間の使い方なのではないでしょうか?

Biz.ID 大企業の社長さんには秘書が付いていたりしますから、時間に余裕が出てきそうですし、どうなんでしょうか。

永井さん これは「偉い人」という言葉の意味次第のような気がします。

 もし「部下に仕事を任せられるから早く帰ることができるのだ」という指摘だとしたら、それは必ずしも正しくはありません。私は管理職ではなくプロフェッショナル専門職であり、部下はいません。諸々の雑用も含めて、全て自分でこなしています。

 また「職場である程度の職位にあるので、時間を自由に使うことができるのだ」としたら、それも必ずしも正しくはありません。

 ある程度の職位の人には、そのポジションに見合った仕事が次々に舞い込んで来きます。私の場合、主任の時よりも課長の時の方が、そして課長の時よりも今の方が、仕事の量も求められる質も、ずっと高くなっていますし、同僚やお客様の都合で時間も取られます。ですから少なくとも就業時間中は、必ずしも自分の時間は自由に使えません。強いて言えば、夜6時以降の打ち合わせはやんわりと断るようにしている程度ですが、それでも必要があれば6時以降でも打ち合わせを行っています。

 朝シフト仕事術はこのような背景もあり、早朝の仕事の生産性を6倍にアップする必要に迫られて行っているのです。

Biz.ID なるほど、秘書が付いているというのはそれだけ忙しいってことですね。むしろ相手に合わせて時間を配分しているという。これは朝の時間が大事になりそうです。

永井さん また「自分は若いから、もっと長時間働いた方がいいと思う」というご指摘であれば、それはその通りかもしれません。記事の最初に紹介しましたように、私も20〜30代のころは残業ばかりしていました。その時の蓄積は、確かに役立っています。ただ今から振りかえると、当時は無駄な残業も多かったのも確かです。もし今の私が当時の私にアドバイスできるとすれば「残業するのはいいけど、メリハリつけようよ」って言うでしょうね。

 私が偉い人かというと、全然偉くはありませんし、この仕事術は必ずしも偉い人でなくてもできると思います。

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