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» 2012年01月18日 11時00分 公開

説明書を書く悩み解決相談室:「反対のもの」と対比づけて説明する (1/2)

同じ文脈で複数の方法を説明する場合、例えば「AとBは反対のものなのか?」と問い直し、反対のものを対比づけて説明するという手法があります。

[開米瑞浩,Business Media 誠]

 「説明書を書く悩み解決相談室」第11回です!

 今回は難解な専門的概念を解説している場面によく出てくる「反対のものを対比づけて説明する」という手法について書きます。

 「○○の目的のためにはAという方法とBという方法があります。Aは……、Bは……」のように、同じ文脈で複数の方法を説明するシーンはどんな分野の解説書でもよく見かけます。こういう場合、その複数の方法は何らかの観点で反対の性格を持っていることがあります。

 それが分かると説明しやすくなるので、AとBは反対のものなのか? と問い直してみるのは、分かりやすい説明の手掛かりを得るための良い手です。

 では実例を見てみましょう。下記の文章は、機械製品などの故障を減らすための解析手法を2種類説明しています。

FTAとFMEA:概要説明

 FMEAとは、製品の設計の欠陥を見つけるために、製品を構成する要素(個別部品)の故障モードとその上位アイテムへの影響を解析する技法です。例えば、電線を使っている部品ならばそれがスイッチであれ電球であれ、「断線」という故障を起こす可能性があります。この場合「断線」が故障モードです。しかし、同じ断線であっても、片側のヘッドライトの断線と、エンジンの点火プラグ電源の断線とでは、自動車という製品の働き(走れるか否か)への影響はまったく違います。そこで、「この部品が故障したら、製品全体の働きにどう影響するか?」を考えるのがFMEAです。

 一方、FTAは製品が機能を果たさなくなる事象を定義し、その事象を引き起こす原因を分解していく技法です。例えば「車が走れなくなる」という事象について、その原因としては何がありうるかをブレークダウンして発生確率を探るのがFTAです。

 つまり、いずれも故障の解析を行うものの、FMEAはボトムアップ的手法、FTAはトップダウン的手法であるという違いがあります。

 いやあ、長いですね。しかも何やら堅苦しく書かれています。まあ、やわらかく書けばいいというものでもありませんが。

 それではこのような説明文を分かりやすくすることを考えてみましょう。

 今回手掛かりになるのは最後の一文に出てくる「ボトムアップ」「トップダウン」という言葉です。

 冒頭にも書いたように実は反対のものを見つけると、うまく構造化できて相互に比較することで理解しやすくなる場合が多いのです。今回の事例のように反対の性格のものであることが明示されているなら、ぜひその対比が見えるようにしましょう。

 それには、こんなチャートを使います。

 この図のA欄とB欄にそれぞれの説明を簡略化して入れてやると、FTAとFMEAの2つを反対方向に考える技法として理解しやすくなり、2つの概念を一度に、しかも忘れにくい形で覚えることができます。

 さて、AとBにどのような説明を入れますか?

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