私はよく考え事をするときに付せんを利用します。PCの描画ソフトを使って描くこともできますが、やはり手書きの方が大量の情報を一覧しつつ試行錯誤することに向いています。このような場合は一度PCを離れて論理構造を整理してみてはいかがでしょうか。
アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第25回です!
10年以上前、私がIT技術者として他社常駐で働いていたある日のこと。職場の同僚にこんなことを聞かれたことがありました。
坂口 開米さん、よく机に付せんを広げてますけど、何やってるんですか?
開米 ああ、あれは、考え事をしてるだけですよ。
坂口 いつもの得意技でVisio(マイクロソフトの描画ソフト)使わないんですか?
開米 本当に訳が分からないときには手書きの方がいいんです。
坂口 えっ!?
考え事をするには、手書きに付せんの方がいい、というこの話は私が経験的に感じたことなので、裏付けとなる脳や神経の理論があるのかどうかは知りません。それでも、お話にならないぐらい字が下手で、手書きをしたくないからPCを使っていたこの私が今では手書きを推奨しているぐらい「手書きの方が頭が働く」効果はあると感じています。
坂口 じゃあ、あれですか、開米さんの書いてくれる資料っていつもすごく分かりやすい図解入りですけど、あれはVisioのおかげじゃなくって……。
開米 どちらかといえば付せんのおかげ、ですね。
坂口 ちょっと興味あるんですけど、どういうやり方してるか今度見せてもらっていいですか?
開米 いくらでも見てもらっていいですけど、特別な決まったやり方があるわけじゃないですけどねえ……。
坂口 そうなんですか? いや実は、アイデアをまとめる時に付せんを使うといいよ、とは聞いたことがあるんですけど、実際どんな風にやったらいいのかよく分からなくて。
開米 ああ、それで何か参考になれば、ということですか。じゃあ……試しにやってみます?
坂口 な、何をですか?
というわけで、「雑然とした情報を細かく分解してロジックの流れを見出す付せんワーク」を実際やってみましょう。
今回の課題文書はこれです。
課題文書
パンデミック(特定の感染症による世界的な大流行)を引き起こすインフルエンザとは、表面の抗原性がまったく異なる新型のウイルスが出現することにより、ほとんどの人が免疫を持っていないため、世界的な大流行となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすもののことです。
坂口 たったこれだけ?
開米 そう、たったこれだけ。一部専門用語もあるけど大したことは書いてないので、それほど難しくも感じないですよね。まあ、やってみましょうよ。まずこの文中から8つのキーワードを拾い出して付せんに書きます。
坂口 付せんに書き出す、と……。
開米 あ、必ず付せん1枚につき1キーワードにしてください。これ大事です。だから、今回は8枚使います。
坂口 はいよ……っとできた!
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