もう振り回されない! 「虚構新聞」らに学ぶ“デマ”との付き合い方個人サイト管理人の「目」(2/4 ページ)

» 2013年02月04日 11時45分 公開
[村上万純,Business Media 誠]

“ネタ”にリアリティがありすぎると“デマ”になる

 嘘のニュースを配信する「虚構新聞」の記事は、しばしばネタがデマとして広まってしまう。そのためネットで炎上したり、デマとネタをめぐる議論で取り上げられることも多い。最近では、「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」の記事が炎上してしまい、話題になった。そこで、サイトを運営するUK氏本人に炎上の理由を分析してもらい、自身の見解を述べてもらった。また、ほかの個人サイト運営者にも、虚構新聞について率直な意見を聞いた。

UK 「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」について、Twitterでつぶやいた「お詫び」にも掲載したのですが、あまりにも多くの人に「橋下氏ならやりかねない」と思わせてしまったのが予想外でした。しかも、この謝罪文がまた1つの風刺と受け取られて、さらなる炎上につながってしまいました。

 加えて、「Yahoo!ニュース」のトピックスに掲載されてしまったことで、多くの人の注目を集め、普段虚構新聞を見ない人たちも巻き込んでいく形に……。そして、虚構新聞にネタで書かれた記事を真に受けて、橋下さんをバッシングする人たちも出てきてしまって。ネタで書いていたのに、いつしかデマになってしまった。これは大変不本意だったので、謝罪するに至ったんです。

 この騒動を機に、虚構新聞に関する意見を、多くのネットユーザーがTwitterやブログで書いていました。それを見ていると、批判する人の多くは「人を騙すのは嫌いだ」といった感情が背景にあるような印象を持ちました。ですが、私としては読み手に嘘だと分かってもらえるようにサイトや記事を工夫しているので、情報発信者としての責任はある程度は果たせていると思うんですね。例えば、「虚構新聞」というサイトのタイトル、本文中のネタ度の強いオチ、公式アカウントでのツイートによる情報発信源の明示、見出しの横に入れた「これは嘘のニュースです」という隠し文字など、結構分かりやすくしてあるんです。

 読み手側に全ての責任の所在があると言いたいわけではないのですが、Twitterでシェアされた情報について、内容をよく確かめないで反射的にリツイートしてしまうところには、読み手の不手際を感じます。

画像 橋下市長を取り上げた記事が炎上したことを受けて、UK氏は「検証」という形で虚構新聞の公式見解を述べた
画像 「昔のほうが、ネットは清濁混じった情報だらけのカオスな状況でした。でも、そこから情報を抽出するのが楽しみだったんですよね」と、過去を振り返るさらしる氏

さらしる 恐らく虚構新聞に否定的な人は、嘘のニュースを配信するという行為に対する是非ではなく、単純に「騙されて悔しい」という感情的な気持ちが大きいのだと思います。私もよく騙されますけど、無料で閲覧できますし、楽しんだ代償として悔しさがあると思えばいいのでは……。

松永 虚構新聞は、記事によってはデマかネタかの判断を取りづらいかもしれません。特に橋下市長の記事はリアリティがありすぎました。そのため、ネタと受け取ってもらうには難しかった部分があるのではないでしょうか。


 虚構新聞の事例で浮き彫りになったのが、デマに対する受信者側のリテラシーの問題だ。つまり、デマそのものが問題なのではなく、不確定な情報を見つけた際に、我々がどのように受け取り、対応するかが重要なのだ。

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