シャープの電子ノートは、メモ機能に特化したシンプルなツールだ。各種文具を研究した形跡も見られる。本稿では、スペックをおさらいしつつ、シャープの過去と現在を見渡しながら、ありうべき次世代モデルについて“妄想”提言してみたい。
シャープは2013年1月に、メモ機能に特化した電子ノート「WG-N10」を発売した。本稿では、シャープの過去と現在を見渡しながら、今後出てくるであろうWG-N10の次世代モデルを“妄想”提言してみたい。
WG-N10を一言で紹介するならば、手書きメモ機能に特化したデジタルツールだ。専用のスタイラスを付属しており、スイッチを入れてすぐにメモを取れる。
ノートと名が付くだけあり、横罫(4種類)や方眼、スケジュールやToDoといった各種フォームを内蔵。無地の液晶画面よりもより文具的な感覚で利用できる。
基本的に単体で使うが、付属のケーブルを使って、内蔵メモリに記録した手書きメモのイメージをPCにバックアップもできる。画像形式はBMPファイルだ。
さらにシャープでは、WG-N10専用のWebページを通じてリフィル(WG-N10で使える各種フォーム)も提供している。この辺りは、好きなリフィルを追加できるシステム手帳のようでもある。
他のデジタルガジェットとは違い、多機能ではない。一例を挙げれば、ネット接続機能がないので、Web閲覧もメール操作もできない。タブレットやスマートフォンを使い慣れた目には物足りないという意見はあるだろう。書く機能に徹していると考えれば……“手書き版ポメラ”と言えなくもない。
液晶の反応は、実際の使用シーンを想定してチューニングしてある。例えばうっかり手の平がタッチ画面に当たっても反応しない。これはタブレットやスマートフォンなどと違い、マルチタッチ動作を想定する必要がないために実現できたのだろう。
ポメラは、文具メーカーのキングジム製だったが、電子ノートは家電メーカーが作った電子文具だといえる。
WG-N10を一通り触ってみての評価は、デジタルツールとしての可能性の追求はこれからということだ。例えばページフォームの1つ「ToDo」には、手帳のToDoリストさながらに左端にチェックボックスがあり、右側に横長の項目名記入スペースがある。記入作法は大方の予想を裏切り、チェックボックスにはスタイラスできっちりチェックを書いてやらないと「レ」の字が入らない。次期バージョンでは、タッチしただけでチェックが入るようになってほしいものだ。
またスケジュールのフォームでは、日付を手書きする必要があるが、これは内蔵カレンダーから呼び出す方が現実的だし楽だ。
念のために言えば、以上2つの例のような点まで愚直にアナログを踏襲する意味は、ほぼないだろう。それは「レ」や日付、時間などは、もともと決まりきった形で表現されるものであり、入力に手間をかけたり、手書きの筆跡のままで情報を保持する意味がデジタル機器ではほぼないからに他ならない。人がそのフォーム上でやるであろう操作を想定して適宜アシストできるのがデジタルガジェットのあり得べき姿ではないだろうか。
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